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コンタクトセンターDX最前線

【Vol.29】無料で使える機能も?!顧客体験価値を高めるGenesys CloudのAI機能とは?

2025/01/23

コールセンター白書2024によると、「コンタクトセンターで対応しているチャネル(複数回答可)」を聞いた結果、電話、メール(Webサイトのフォーム経由での問い合わせを含む)に加え、チャットボットが51%、有人によるチャット対応が44.3% で、昨年に比べて非常に伸びていると言います。

そして、今後導入予定のチャネルについては、ボイスボットと回答する企業が47%を占めており、複数のチャネル対応が当たり前になっていることが分かります。

一方で、複数のチャネルを運用する場合、メールと電話で言っていることが違う、サイトに書いてあることとオペレーターの説明が違うなど、一貫性のない対応などが、CX低下の原因になることも少なくありません。

今回は、日本国内でもシェアが広がるGenesys Cloudが提供するAI機能「AI Experience」について紹介したいと思います。Genesys Cloudを導入している方、これから導入しようとしている方にぜひ読んでいただきたい記事です。

Genesys Cloud CXプラットフォーム内のAIエンジン「Genesys Cloud AI」

Genesys Cloudでは、他社のクラウドプロバイダとは異なり、「予測型」「会話型」「分析型」の3つの要素を軸に独自に開発された技術を基盤として「Genesys Cloud AI」を採用しています。

Genesys Cloud AIのポートフォリオ

Genesys Cloud AIの強みは高いセキュリティレベルと頻繁に更新される機能アップデートではないでしょうか。

1. 高いセキュリティレベル
顧客データを厳重に保護し、企業のプライバシーポリシーやコンプライアンス要件を確実に満たすなど、セキュリティを最優先に設計されています。

データの保存や処理が一貫して安全性が高いだけではなく他のクラウドプロバイダに依存しないため、セキュリティリスクを最小限に抑えられます。


2. 継続的な進化を支えるアップデート
Genesys Cloudは、毎週更新されるロードマップを通じて、AI機能の充実を図っています。
顧客のフィードバックや市場のトレンドを取り入れ、迅速に新機能をリリースする仕組みを持っており、継続的な機能改善が行われています。企業は最先端のAI技術を常に活用でき、競争力を維持できるでしょう。

顧客体験全体を最適化する「AI Experience」に含まれる機能

AIエンジンにGenesys Cloud AIを活用したAI機能群がAI Experienceで、顧客体験全体をAIで最適化するために4つの機能で構成されています。

① Predictive Routing(AIルーティング)

顧客からのお問い合わせ内容に応じて、最適と思われるオペレーターへ振り分ける機能です。

Predictive Routingでは、最適化したいKPI視点でオペレーターの習熟度をランク化し、さらに、標準的な質問への対応が得意、トラブルシーティング関連の対応が得意など、オペレーターの得意領域でグループ化します。そして、グループ化された結果と、顧客の過去の問い合わせ履歴やこれまでの状況なども考慮した上で、顧客とオペレーターのマッチングを行います。

標準的なルーティング方式では、接続率やサービスレベルを最大化することを目的にルーティングを行いますが、Predictive Routingの場合は、平均処理時間(通話時間+後処理時間)の短縮や、受注や予約完了などの業務的な指標の達成を最適化対象のKPIに設定し、これらを実現するためにルーティングを行います。

そのため、従来のルーティングと比べても、Predictive Routingでは、顧客は多少待たされたとしても、迅速に解決してくれるオペレーターにつながるようになるため、「なんとなく心地よい対応」と感じられるようになります。

[期待される効果]
  • ・一次回答率の向上
  • ・応対品質の向上
  • ・顧客満足度の向上

② Predictive Engagement(Web接客)

Webサイト上の行動動線を分析し、顧客の行動変化に応じた接客をすることで、ビジネス目標の向上をAIがサポートする機能です。

Predictive Engagementでは、顧客がWebサイトのどのページを閲覧したのか、何をクリックしたのかを分析し、売上拡大や資料ダウンロード数増加、登録件数アップなどの事前に定義したビジネス目標達成までの見込みをAIがリアルタイムに算出していきます。

そして、20%以上下がった場合は割引クーポンをポップアップ表示させる、40%以上下がった場合はチャットによる救済を行うなど、算出したスコアの変化に応じてリアルタイムにWeb動線を修正するアクションを行い、ビジネス目標の達成をサポートしていきます。

Webサイトへの訪問者数が多ければ多いほどスコアの精度が上がっていくほか、日々最新の訪問者データでAIの学習データはブラッシュアップされていくため、AIに関する専門家がいなくても、簡単に導入できる点もポイントです。

[期待される効果]
  • ・売上向上などのビジネス目標への貢献

③ Dialog Engine Bot Flow(チャットボット/ボイスボット)

Genesys Cloudに標準搭載されているボイスボット、チャットボット機能です。

Genesys純正のボットサービスのため、特別な連携設定などを行う必要はなく、音声やチャットのフローから容易にボットを追加できます。有人対応への切り替えも簡単に設計できるため、単純な問い合わせだけでなく、複雑な会話や商品提案でも活用できます。

Dialog Engine Bot Flowは、他の機能とは異なり、AI Experienceのご契約をいただかなくても、ボイスボットはGC1、チャットボットはGC2から利用できます。使用料は従量課金となりますが、使用した分のみの請求のため、ボイスボットやチャットボットを手軽に使い始められるのが魅力です。

[期待される効果]
  • ・生産性の向上
  • ・オペレーターの業務負荷の軽減
  • ・顧客満足度の向上

④ Agent Copilot

顧客とオペレーターの会話内容をリアルタイムでテキスト化し、テキスト化した結果をもとに、オペレーターに対してナレッジベースからの回答抽出や、次にすべきアクションを提案する機能です。

感情解析やトーン分析を活用し、顧客の感情に応じた対応ができるため、例えば、顧客が苛立っている場合には迅速かつ柔軟に対応するなど、クレームの抑止にも効果的です。

また、応対終了後は、会話内容の自動要約機能で、応対履歴をまとめるストレスと時間の軽減も可能です。たくさんのツールやデータを使いこなさなければならないオペレーターの業務負荷を軽減しながら、高品質なサービス提供が可能になります。

[期待される効果]
  • ・一次解答率の向上
  • ・通話時間の削減
  • ・後処理時間の削減
  • ・トレーニング時間の削減
  • ・オペレーターのストレス軽減
  • ・応対品質の向上

まとめ

いかがだったでしょうか?
生成AIが当たり前になりつつある時代だからこそ、Genesys CloudのAI Experienceの活用を通じて、他社との差別化を図り、顧客満足度をさらに向上させる取り組みを始めてみませんか?

AI ExperienceはGenesys Cloudの契約内容の変更でいつでも組み込みが可能です。また、「AI Experience Token」というAIライセンスパッケージが提供されており、特定の機能での利用に固定せず、パッケージ内に含まれるAI機能をどれでも利用できるようになっています。毎月の無料利用枠も提供されるため、本格導入前の検証用としても活用できます。

S&Iでは、Genesys Cloud CXの構築支援はもちろん、AI活用など顧客ニーズに応じたコンタクトチャネルの設計や運用支援まで対応しています。ご興味のある方はぜひS&Iまでご相談ください!

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