MENU
コンタクトセンターDX最前線

【Vol.19】【事例で解説】海外を含むコンタクトセンターを複数拠点構築!メリットと注意すべき点とは?

2024/07/05

BCP対策を目的にコンタクトセンターを複数拠点で運営する企業が増加傾向にあると言います。また多言語対応やコスト削減、24時間対応などサービスレベルの向上やグローバル市場での競争力向上を目的に、海外にコンタクトセンターの拠点を置く企業も増えています。

最近では、クラウドベースのコンタクトセンター基盤を採用して、複数拠点のコンタクトセンター運営を効率化するケースも増えていますが、個人情報を多く取り扱う窓口では、セキュリティの観点からオンプレミスでコンタクトセンター基盤を構築するケースも依然としてあります。

今回は、海外拠点を含むコンタクトセンターを運営されるお客さま事例をもとに、オンプレミスで全拠点を1つのシステムに統合する際の注意点とメリットについてご紹介します。

複数拠点のPBXシステムを1つに統合するメリットとは?

まず最初に、複数拠点のPBXシステムを1つに統合する場合のメリットについて紹介します。

■ コストの削減

システムが統合されることでハードウェアやソフトウェアの維持費が削減され、二重に存在していたインフラ設備やサポート契約が不要になるため、全体的な運用コストを下げられます。また、1つのPBXシステムだけを管理すればよくなるため、IT部門の負担軽減、設定変更やトラブルシューティングの効率化も期待できます。

■ 拡張性・効率性の向上

小さいシステムを複数運用するよりも効率的に、全体の通話料やユーザー数に応じて簡単に拡張できます。また、PBXシステムによって機能やサービスが異なる場合がありますが、統合されたシステムを利用することで、全ての拠点で同じ機能を利用できるようになり、一貫したユーザー体験を提供できるようになります。バックアップやリカバリーのプロセスがシンプルになり、障害発生時の迅速な対応が可能になるなど、障害対策の強化も可能になります。

■ 内部コミュニケーションの向上

PBXシステムが統合できると、全体の通信インフラの統一が可能になるため、異なる拠点間でもシームレスに通話やデータのやり取りができるなど、内部コミュニケーションの効率化が期待できます。


このように、コスト削減や生産性の向上、一貫したユーザー体験の提供など、PBXの統合は非常に有益な選択肢といえます。

こうしたメリットを踏まえて、複数拠点のコンタクトセンターシステムを1つに統合したお客さまの事例を見てみましょう。

[ケース] 米国拠点と日本拠点のコンタクトセンター基盤を1つに統合!

今回ご紹介するお客さまは、グローバルにビジネスを展開する運輸事業会社様です。
日本に3拠点、米国に1拠点、計4拠点のコンタクトセンターを運営されており、国内サービスに関するお問い合わせの受付時間は日中帯のみ、日本の窓口で対応し、国際サービスに関するお問い合わせは受付時間に応じて日米の窓口を切り替えることで24時間対応を実現されています。

これまで日米のそれぞれの拠点で別々のシステムを利用していたため、お客さまの応対履歴などの情報が拠点間で連携できていないなど、一貫性のある顧客体験サービスを提供できていないという課題がありました。

そこで、老朽化したPBXの更改をキッカケに、CRMや通話録音システムなども含めたコンタクトセンターシステムを1つに統合することに。東京データセンターに新たに構築したアバイアPBX「Avaya Aura Communication Manager」から、全拠点をコントロールできるようにしました。

■ 時差やサマータイムにも対応!複数のタイムゾーンを管理できる「Avaya Aura Communication Manager」

米国の窓口は西海岸に位置しており、日本とは17時間、サマータイム時は16時間の時差があります。日本の拠点と米国の拠点のシステムを1つに統合するためには、これらの時差を考慮して、受付時間によって窓口を自動で切り替える必要があり、時差やサマータイムへの対応は必須となりました。

世界中で高いシェアを持つアバイアは、複数のタイムゾーンに対応できるマルチシステムになっており、メインのタイムゾーンを日本に、西海岸にある米国拠点は「-17時間」と設定することで、時差に応じたコールフローに対応できるようになります。もちろん、サマータイム期間である3月〜10月の間は、自動で時差が-16時間に切り替わります。

このように、異なるタイムゾーンにある拠点を1つのシステムに統合する場合、初期設定時に時差を考慮した設定をする必要がありますが、システムとしてはシンプルな設計が可能になります。一方で、構築時の難易度が少し高くなるという留意点も。

なお、アバイア独自の機能であるBSR(Best Service Routing)を利用することで、1つに統合せずに、拠点ごとに設置したPBXをあたかも1つのシステムとして運用することも可能です。この機能は、全拠点のオペレーターの稼働状況と予測待ち時間をもとに最適な拠点、スキルのオペレーターに接続できるようになるため、リソースの効率的な配置によりオペレーターの負担を軽減しながら全体の業務効率化も可能になります。

ただし、今回のお客さまのように複数のタイムゾーンにある拠点でBSRを利用する場合は、ルーティングルールの設定などが複雑になるほか、システムトラブル発生時の影響度が高くなるなどの懸念点もあるため、利用時には注意が必要となります。

アバイア製品によるコンタクトセンター構築はS&Iにご相談ください!

S&Iでは、金融・保険業界のお客さまや、1,000席以上の大規模コンタクトセンターの構築実績が豊富にあります。また、コンタクトセンター基盤の構築を専門とする技術者が多数在籍しており、アバイア製品を知り尽くした技術者がお客さまの課題や運用フローに応じたご提案が可能です。アバイア製品で構築したコンタクトセンターシステムのリプレイスを検討されているお客さまは、ぜひS&Iまでご相談ください!


コンタクトセンターDX最前線