MENU
コンタクトセンターDX最前線

【Vol.08】【事例有り】生成AIによる通話内容の自動要約の実力はどれほどか?

2023/12/07

コンタクトセンターの応対業務において、クレーム時やオペレーターが一次対応できないお問合せをスーパーバイザーなどにエスカレーションする際に、対応履歴の内容が分かりづらくスムーズに引き継げない…というケースはありませんか?

本記事では、生成AIを活用した応対履歴の要約について、その仕組みや特長を事例とともに解説します。

応対履歴の作成はなぜ難しい?生成AIによる要約がオススメな理由

顧客との通話内容を応対履歴として残すことは、顧客満足度の向上やニーズや問題点の把握、顧客の属性を知るためにも重要な作業の1つと言えます。しかし、応対履歴の粒度や精度は、オペレーターの文章力や理解度に左右されるため、いざ活用しようとしたところ、適切にまとまっていなく使えないということも少なくありません。


[うまくまとまっていない応対履歴の特長]
  • ・簡潔にまとめられすぎてしまっていて、顧客の背景や状況まで汲み取れない
  • ・書いてあることがメチャクチャで、何を言いたいのか分からない
  • ・文章が長すぎて、要点を理解するのに時間がかかる



通話内容を適切にまとめるためには、応対履歴を作成するためのコツを抑えておく必要がありますが、オペレーターがこれらを習得して、発揮できるようになるまでには一定の時間がかかりますし、そもそも指導のための時間が割けないという場合も少なくありません。


[応対履歴を作成する際のポイント]
  • ・主語と述語を明確にする
  • ・事実を正確に記載する(自分の意見と事実を混同させないように注意)
  • ・要点を簡潔にまとめる
  • ・読み手に伝わる内容になっているか意識する



生成AIは要点を正確に抽出し、簡潔に要約することを得意としており、まさに、応対履歴を作成する際のポイントを抑えた要約を生成することが可能です。また、事前に定義したフォーマットやルールに基づいて一貫性のある要約ができるため、オペレーターのスキルによらず効率的に行えます。

生成AIで通話内容を自動要約するための仕組み

生成AIで通話内容を要約する場合、通話内容の音声認識結果とともにプロンプトと呼ばれる入力指示書をインプットします。生成AIは、プロンプトの内容に応じてアウトプットを生成するため、プロンプトの内容や作り方しだいでさまざまなアウトプットを生成できます。

例えば、プロンプトに顧客情報の抽出を指定すれば、通話内容から顧客の氏名や住所、電話番号などの情報を抽出し、まとめることもできます。また、要約形式は何文字以内にまとめる、箇条書きにまとめるなどを指定することもできるため、CRMに登録しやすい形式など運用にあわせて定義することも可能です。

なお、運用にあった要約結果を得るためには、プロンプトに要約の目的やルール、アウトプット形式を具体的に定義するようにしましょう。プロンプトに記載する内容が曖昧だったり、適切ではなかったりすると、思っていたような要約がされない場合もあるため、注意が必要です。

事例で解説!生成AIによる通話内容の要約結果はココがすごい

それでは、通話内容を音声認識した結果とともに、実際に生成AIが要約した結果を見てみましょう。3分ほどの応対を、お客さま情報と会話した内容の要点の2つに分けて要約しています。

3分ほどの応対を、お客さま情報と会話した内容の要点の2つに分けて要約しています。
この例では、「iPhoneのバックアップを取りたい」というお問合せに対して、顧客である田中様はパソコンを使われていないという背景から、パソコンを使わずバックアップできる方法としてiCloudを使ってバックアップを取得する方法を案内しています。

このように、なぜ「iCloudを利用したバックアップ方法」を案内したのかという理由も読み取ることができます。このような部分は、オペレーターによっては省略されてしまうこともありますが、生成AIを活用するときちんと履歴に残せるようになります。

この後、同じ顧客から再度お問合せがあった場合にも、前回の対応内容を踏まえてパソコンをお持ちではないという状況を理解したうえで、適切な案内ができます。何度も同じことを確認する必要もないため、顧客側のストレスも最小限に抑えられるでしょう。

また、要約結果の最後の一文にも注目してみると、「問題解決し、田中様に満足いただけた」と記載されています。対話内容の全体を把握し、あたかも対応した本人が書いたように表現している点も生成AIの特長です。


[生成AIによる自動要約の特長]
  • ・なぜそのような回答をしたのか、顧客の置かれている状況や理由も残せる
  • ・人によっては省略してしまうやり取りも、重要度を考慮して残せる
  • ・やり取りから感情を読み取り、対応の結果どうだったかという顧客の反応も残せる

まとめ

いかがだったでしょうか。
生成AIによる要約機能を活用することで、応対履歴を適切に残すことが可能になり、後処理の作業を大幅に削減できるのではないでしょうか。

通話内容をリアルタイムにテキスト化しながら、生成AIによる自動要約も可能なのがS&Iが提供している応対支援サービス「AI Dig」です。通話時間にかかわらず20〜30秒ほどでテキスト化された応対内容をもとに自動要約できます。用意されているプロンプトテンプレートを使って簡単に利用開始することも、プロンプトを自由にカスタマイズすることもできます。

音声認識の精度や要約結果の精度が気になる…という方には、デモをご覧いただくこともできます。お客さまの業務フローで活用できるかご確認いただきながら、ご検討いただけます。

コンタクトセンターDX最前線

新着コラム