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コンタクトセンターDX最前線

【Vol.16】Genesys Cloudはフルクラウド一択?クラウド回線利用時の注意点とハイブリッドという選択肢

2024/04/22

BCP対策や多様な働き方への対応を目的にクラウドPBXを導入する企業が増えており、特にクラウドコンタクトセンタープラットフォームGenesys Cloudの市場シェアが伸びています。

Genesys Cloudはキャリア回線も含めてフルクラウドで利用できる点がポイント。
サービス提供元であるジェネシスクラウドサービス社もクラウド回線を利用する「BYOC Cloud」の構成を推奨しており、2023年12月にNTTコミュニケーションズがラインアップに加わったことで、2024年4月現在、Twilio、Vonage、KDDIを含む4社のサービスから選択できるようになっています。

拠点にボイスゲートウェイやSBCなどの設置も不要で、運用負担も大きく軽減されるなどのメリットが期待できます。また、2024年7月には国内2つめのサービス拠点大阪リージョンでもKDDIの接続が可能になるなど、BCP対策の観点からも堅牢性の向上が期待されています。

スムーズにクラウド回線を利用するための注意点

Genesys Cloudを利用するメリットの1つに「短期間で利用開始できる」点がありますが、クラウド回線を利用する場合には注意が必要です。

電話番号は、振り込め詐欺やオレオレ詐欺などの犯罪に活用される可能性が高く、特にオフィスに機器を設置する必要のないクラウド回線では、電話番号を容易に持ち運べることから、電話番号と位置情報を紐づけるための「電話番号制度」と犯罪で得た収益が事業活動に用いられることを防止するための「犯罪収益移転防止法」を遵守することが求められます。

【クラウド回線を利用する際に必要な手続き】
  • 電話番号制度および犯罪収益移転防止法遵守のため、明確な本人確認ができる書類の提出が必須
  • 法律に基づく方法で、犯罪に関わらない取り引きかどうかサービス提供者をチェック


そのため、クラウド回線を申し込むには、履歴事項全部証明書(登記簿謄本)や、代表者の本人確認ができる書類(運転免許証や住民票など)、代表者から担当者に取引を委任する場合の委任状など、複数の書類の提出が必要になるのですが、書類の準備に時間がかかってしまい、予定していたスケジュールよりも遅れてしまったというお客さまも少なくありません。

申し込み手続きには専門知識も必要になりますが、キャリアが提供しているサポート窓口を活用することで、安心して手続きを進められます。
ただし、お客さまが直接クラウド回線を提供するキャリアと契約しなければならないため、お客さま自身でお手続きにかかる時間などをご確認いただき、全体の構築スケジュールが遅れないように注意してください。

利用するサービスによってはハイブリッド運用も視野に

一方で、現在使っている回線がクラウドに対応していない場合や電話番号を持ち出せない場合で、電話番号を継続して利用したいという時は、オンプレミス構成を採用せざるを得ませんが、一部窓口はクラウドに移行し、残りは段階的にオンプレミス構成からクラウド構成に移行していきたいというニーズも少なくありません。

その他にも、クラウド回線のみに対応しているサービス、クラウド回線には対応していないサービスがあり、利用したいサービスの組み合わせによってはそのままクラウド構成に移行できないケースもあります。

例えば、最近増えているのが、顧客からの問い合わせ内容に応じて適切な応答を自動化するなど、Webフックを利用したサービスとクラウド回線に対応していないキャリアが提供するFMCサービスなどと併用したいというご要件です。Webフックを利用したサービスは、クラウド回線のみに対応しているため、単純にプレミス構成に…ということもできません。

こうしたケースでは、「クラウド回線を利用するクラウド構成と既存の電話回線を利用するオンプレミス構成を併用するハイブリッド構成がオススメです。ハイブリッド構成にしておくことで、該当サービスを利用する窓口以外はフルクラウド構成で構築できるため、運用負担も最小限に抑えられます。また、今後、クラウド回線での利用が可能になった場合は、容易にオンプレミス構成からクラウド構成に移行することもできます。

【ハイブリッド構成がオススメなケース】
  • 段階的にクラウド回線に移行したい
  • クラウド回線に対応していないサービスと併用したい

どの構成がよいのか悩んだときは、S&Iにお任せください!

S&Iでは、お客さまの運用状況や利用されているサービスなどをヒアリングさせていただきながら、最適な構成をご提案させていただいています。
また、クラウド回線のご契約についても、現在利用されているキャリアサービスやオプションを考慮したうえで、お客さまとキャリアとの間に入って技術的なご支援をさせていただくことも可能です。

Genesys Cloudに移行したいけど現在の運用のまま移行できるか不安、運用しやすい構成や移行方法を知りたいという方は、S&Iにご相談ください!お客さまの利用されているサービスがクラウド回線でも利用できるか調査するところから支援いたします。

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