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コンタクトセンターDX最前線

【Vol.23】失敗原因から紐解く、IVR導入が成功するための秘訣とは?

2024/09/05

近年、顧客対応の現場においてIVRシステムの重要性がますます高まっています。今回はIVR導入で、顧客満足度を最大限に高め、企業の信頼性を向上させるために注意すべきポイントをご紹介します。




IVRとは?

IVR(Interactive Voice Response)は自動音声応答システムのことで、顧客が電話をかけた際に、音声ガイダンスに従ってプッシュ操作することで、用件に応じた窓口のオペレーターにつながる仕組みです。

例えば、コンタクトセンターに電話をかけた際に流れてくる「○○○の方は1を、△△△の方は2を選んでください…」という音声ガイダンスは、IVRによる仕組みです。

担当の窓口に接続する以外にも、自動アナウンスで必要な情報を提供することもできますが、多くのコンタクトセンターでオペレーターに接続する前の前捌きで利用されており、コールセンター白書2023の調査結果によると、すでに導入しているITソリューションに関するアンケートで回答208件のうち59.2%のコンタクトセンターが導入していると答えています。

IVR導入が失敗する理由

顧客からの問い合わせや要望に迅速かつ効率的に対応するための重要なツールであり、企業の第一印象を左右する「顔」とも言える存在です。しかし、ガイダンスが長すぎたり、選択メニューが分かりづらかったり、設計次第では顧客にフラストレーションを与えることも少なくありません。

ここでは、これまでS&Iがご支援させていただいた中でよく見かける、IVRがうまく機能していない原因をいくつかご紹介します。

■ 階層が深すぎる、選択肢が多すぎる

階層が深すぎると、自分がどこを辿ってきたか分からなくなってしまいます。また選択肢を並列に作りすぎると、ガイダンスが長くなってしまい、顧客の離脱につながる原因になります。
特に、商品を多くお持ちのお客さまでは、商品ごとにメニューを分けてしまうなど無駄に細分化してしまい、IVRの選択肢が複雑になってしまっているケースも見受けられます。

選択肢の設定を3桁までできるIVRシステムもありますが、効果的に機能するためには、選択肢は4つ、階層も3階層以内に収めることが理想とされています。

■ 選択肢の質問が抽象的

抽象的な質問の場合、顧客はどれに当てはまるのか分からなくなってしまい、結局「その他」を選んでしまいます。「その他」の選択肢は、総合的な窓口のオペレーターに接続することが多いため、結果的に「この番号にかけ直してください」という案内になったり、別の窓口に転送してもらうも、既に転送先の窓口がいっぱいの状態でかけ直しになってしまったということも少なくありません。

■ Webの情報とリンクしていない

今や、多くの顧客が、一度は企業HPや商品HPなど主にWebコンテンツで自己解決を試みた上で、解決しなかった場合に電話で問い合わせを行うと言われています。その場合、顧客はWebサイトを見ながら電話してくることが多いため、Webサイトの構成とIVR側のメニュー設計がリンクしていないと分かりにくく、顧客はフラストレーションを感じやすくなります。

これは、Webサイトの運用担当者とコンタクトセンターの管理者が異なる場合に起こりやすい傾向にあります。最近では、Webサイトやチャットボットなどのノンボイスチャネルでのお問い合わせも増えているため、音声チャネル側も整合性をとれるように設計しておくと、ユーザビリティが高まり、顧客満足度の向上にもつながります。

IVR導入成功のポイントとは?

■ 顧客視点に立った設計の重要性

IVRシステムの設計において最も重要なポイントは、「顧客視点に立つ」ことです。顧客が電話をかける理由はさまざまですが、その共通点は「迅速な問題解決」を求めている点にあります。そのため、IVRフローは可能な限りシンプルかつ直感的であることが求められます。

先ほどの失敗例でもご紹介したように、長々としたメニューや複雑な選択肢は避け、顧客が最も必要とするオプションに迅速にアクセスできるようにすることが重要です。また、メニューのナビゲーションが分かりやすく、顧客が迷わずに進めるよう設計することも不可欠です。これには、ナチュラルな言葉遣いや適切なトーンでの案内が求められます。専門用語を多用せず、シンプルで分かりやすい表現を心掛けることで、顧客にとってストレスフリーな体験を提供することができます。

■ 効果的なオプション配置

IVRにはさまざまなオプション機能が搭載されています。

例えば、VIP顧客の場合は専任窓口に接続するなど、発信者番号によってコールフローを変更できる機能もあります。窓口の電話番号を分けることで接続先を変更することはもちろん可能ですが、常に共通のお問合せ先をご案内すればよいため、ご案内ミスや顧客がどの番号に電話をすればよいのか迷うことがなくなります。

また、1度の問い合わせでは解決できなかった顧客に対しては、前回担当したオペレーターに自動で接続できる機能もあります。この機能は、契約にあたって十分な説明が必要な保険業界のコンタクトセンターでよく使われています。

その他にも、顧客が自分で問題解決できるように、予約状況の確認や注文状況の確認、支払い処理など簡単な問い合わせは自動案内できる機能や、待ち時間が長くなる場合には後でオペレーターからのコールバックをリクエストできる機能などもあります。

お問合せ内容の傾向などを分析しながらこれらのオプション機能を設定することで、顧客が迅速に目的のサービスにアクセスできるようなります。顧客のストレスを軽減し、スムーズな対応につながるでしょう。

IVRの導入はS&Iにご相談ください!

IVRシステムは企業の顧客対応において不可欠なツールであり、その設計と運用次第で顧客満足度や企業の信頼性に大きな影響を与えます。顧客視点に立ったシンプルで直感的なフロー設計を考慮することで、IVRシステムはより効果的に機能します。企業にとって、IVRシステムの最適化は顧客対応力を向上させ、競争力を高めるための重要な一手となるでしょう。

S&Iでは、これまでも多くのコンタクトセンターへIVRの構築支援を行っています。現状の課題に応じた改善点のご提案から、顧客視点に立ったコールフローの設計、構築までトータルでご支援させていただいております。ご興味のある方は、ぜひ、S&Iまでご相談ください。



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