今回ご紹介するお客さまは、グローバルにビジネスを展開されており、国内外合わせて4拠点のコンタクトセンターを展開されています。
こちらのお客さまでは、これまで業務にあわせてカスタマイズされたシステムを使っていたため、多様化する顧客とのコンタクトチャネルへのスピーディーな対応や、チャットボット・FAQ支援などのAIを活用した業務支援サービスの導入が難しい状況にありました。
市場に提供されているサービスを迅速かつ柔軟に取り入れていくためにはあまりカスタマイズすべきではないという方針のもと、コンタクトセンター基盤の老朽化に伴う更改のタイミングに合わせて、個別開発から脱却し、システムの標準化を進めることになりました。
■パッケージサービスを活用して実現することになった今回のプロジェクト概要
- ①拠点ごとに別れていたCRMを1つのサービスへ統合することによるサービス品質の向上
- ②チャットボットやFAQなど、セルフヘルプのためのコンテンツやオペレーター支援ツールの拡充による運営の効率化
- ③お客さまの声分析やお問い合わせ履歴の分析などによるマーケティング機能の強化
今回、スムーズにSaaS製品を導入するために、数百件にわたる機能要件に対して1件ずつ認識合わせを実施し、その要件の実現性と充足度、導入コストから候補となるパッケージ製品の適合度を定量化していきました。
さらに、お客さまには現行の業務フローで譲れないものを提示していただき、パッケージ製品でできることとできないことを明確化し、できないことは他の方法で実現できないかを検討していくなど、可能な限りパッケージ製品の標準機能を利用することを前提としながら、落とし所を探っていきました。
ここで重要になったのが、
「パッケージの標準機能だけで工夫していくこと」という共通理解を持ってプロジェクトを進めていくことです。現場メンバーにもこの意識を浸透させることで、どうやったらパッケージの機能だけでこの業務フローを実現できるか、より有意義な議論が可能になりますし、機能要件を詰める際の判断基準としても有効になります。
また、SaaS製品の特性を活かして、出来上がってからではなく
開発しながら現場メンバーに操作してもらったことも成功につながったポイントでした。設計の段階で現場メンバーとこまめに打ち合わせを実施し、機能に対する認識のギャップを埋めながら、SaaS製品に対する理解を深めてもらうなど、早いタイミングで検証することで、想定と違った…という状況を回避することができるなど、課題の早期発見と解決につながったと言えるでしょう。