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コンタクトセンターDX最前線

【Vol.21】コンタクトセンターシステムの脱ベンダーロックイン、成功の鍵とは?

2024/07/25

DX推進やクラウドサービスの多様化を背景に、多くのコンタクトセンターで、より柔軟でコスト効果の高いIT戦略を追求する傾向が強まっています。

一方で、かつては当たり前にあった、業務フローにあわせて機能を個別開発し、改修を重ねて複雑になってしまったITシステムでは、いざDXを推進しよう、新しいIT技術を活用して業務を改善しようとなった時に、スピーディーな対応が難しいことがあります。

このように、作り込んでしまったシステムを利用しており、新しいサービスを取り入れたいけど既存システムと連携ができなくなっている場合や、また、特定のベンダーにプロトタイプから開発を委託しているいわゆる「ベンダーロックイン」の状態の場合、最新技術やトレンドへの追従が難しく、企業の競争力低下につながる可能性もあるでしょう。

こうした背景から、標準化されたパッケージ製品やオープンソースの技術を活用したサービスを利用することで、ベンダーロックインからの脱却を掲げる企業が増えています

今回は、「脱ベンダーロックイン」を成功させるためのポイントをお客さま事例とともにご紹介します。






うまくいかない理由とは?「パッケージ」にあわせるための心構え

■ 経営層と現場の足並みは揃っている?トップダウンで進める

S&Iではこれまでの支援経験から、プロジェクトの成功には経営層と現場が一体となって推進することが不可欠だと考えています。

特に、確立された業務フローがある現場では変革に対する抵抗感が強く、カスタマイズの多い機動力のないシステムが構築されがちですが、これに対し、S&Iでは「標準化」を揺るがない方針としたトップダウンでの推進を推奨しています。

このアプローチにより、全体最適化の視点で意思決定を行い、各部門が一致団結して取り組めるようになります。

■ 本当に必要な機能は何?真っさらな状態からの棚卸し

「今」を忘れて、まずは業務フローの中で何が必要なのかを洗い出してもらうようにしています。

必要な要件をリストアップしてもらおうとすると、現状の業務フローから要件をリストアップされるお客さまが多くいらっしゃるのですが、長い年月をかけて増築されたシステムの場合、実際は使われていない機能も少なくありません。また、業務フローを改めて見直すことで、無くても問題ない機能やもっと効率的なやり方の整理にもつながるので、まずは真っさらな状態から必要な要件を棚卸ししていただいています。

そしてリストアップされた要件をもとに、最適な製品の選定に入っていくのですが、必要な機能がパッケージ製品では対応していないケースも少なくありません。こうした場合は、業務フローの方を変更できないかを改めて検討し、それでも難しい場合は個別開発などを検討していきます。

1つのサービスで全ての要件を網羅できるケースは稀です。業務フローと要件を吟味しながら、複数のサービスを組み合わせたり、最小限のカスタマイズで解決できる方法も検討していくのがポイントです。

[ケース] オーダーメイドから既製品へ。業務部門の意識改革と徹底したプロジェクトマネジメントが成功の鍵

今回ご紹介するお客さまは、グローバルにビジネスを展開されており、国内外合わせて4拠点のコンタクトセンターを展開されています。

こちらのお客さまでは、これまで業務にあわせてカスタマイズされたシステムを使っていたため、多様化する顧客とのコンタクトチャネルへのスピーディーな対応や、チャットボット・FAQ支援などのAIを活用した業務支援サービスの導入が難しい状況にありました。

市場に提供されているサービスを迅速かつ柔軟に取り入れていくためにはあまりカスタマイズすべきではないという方針のもと、コンタクトセンター基盤の老朽化に伴う更改のタイミングに合わせて、個別開発から脱却し、システムの標準化を進めることになりました。

■パッケージサービスを活用して実現することになった今回のプロジェクト概要

  • ①拠点ごとに別れていたCRMを1つのサービスへ統合することによるサービス品質の向上
  • ②チャットボットやFAQなど、セルフヘルプのためのコンテンツやオペレーター支援ツールの拡充による運営の効率化
  • ③お客さまの声分析やお問い合わせ履歴の分析などによるマーケティング機能の強化



今回、スムーズにSaaS製品を導入するために、数百件にわたる機能要件に対して1件ずつ認識合わせを実施し、その要件の実現性と充足度、導入コストから候補となるパッケージ製品の適合度を定量化していきました。

さらに、お客さまには現行の業務フローで譲れないものを提示していただき、パッケージ製品でできることとできないことを明確化し、できないことは他の方法で実現できないかを検討していくなど、可能な限りパッケージ製品の標準機能を利用することを前提としながら、落とし所を探っていきました。

ここで重要になったのが、「パッケージの標準機能だけで工夫していくこと」という共通理解を持ってプロジェクトを進めていくことです。現場メンバーにもこの意識を浸透させることで、どうやったらパッケージの機能だけでこの業務フローを実現できるか、より有意義な議論が可能になりますし、機能要件を詰める際の判断基準としても有効になります。

また、SaaS製品の特性を活かして、出来上がってからではなく開発しながら現場メンバーに操作してもらったことも成功につながったポイントでした。設計の段階で現場メンバーとこまめに打ち合わせを実施し、機能に対する認識のギャップを埋めながら、SaaS製品に対する理解を深めてもらうなど、早いタイミングで検証することで、想定と違った…という状況を回避することができるなど、課題の早期発見と解決につながったと言えるでしょう。

コンタクトセンター構築やSaaS製品の導入はS&Iにご相談ください!

脱ベンダーロックインを目指す場合、きちんと業務フローを分析した上でRFPを作成する必要があるのですが、お客さま側の担当者がいなくなってしまい現行システムの詳細な仕様が分からない、きちんとドキュメント化されていなくシステムの全体を把握できないことも多く、中小規模のコンタクトセンターの場合RFPの作成自体が難しい場合もあります。きちんと業務フローの分析を実施し、費用の適正化を行うためにも、経営層と現場の一体化は不可欠です。

S&Iでは、金融・保険業界のお客さまや、1,000席以上の大規模コンタクトセンターの構築実績が豊富にあり、お客さまの課題や業務フローに応じたご提案が可能です。また、コンタクトセンター基盤の構築を専門とする技術者が多数在籍しているため、お客さまのニーズ・ウォンツはもちろん、市場の動向も踏まえたご提案にも対応しています。脱ベンダーロックインを目指したいというお客さまはぜひS&Iまでご相談ください。

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