コンタクトセンターのアウトバウンド業務は、業界や目的によって異なりますが、1日に数百〜数千件の電話をかけるケースもあると言われています。
一方で、コールに出てもらえない・拒否されるなど、顧客との接続率が低く、生産性の低下やオペレーターの負担増加などが課題になっています。そこで、最近ではアウトバウンド業務を自動化するオートコールシステムが注目されています。
オートコールシステムとは、自動的に発信し、あらかじめ録音してあるメッセージを再生したり、接続した場合はオペレーターに自動で接続したりできる仕組みです。大量の電話による発信業務を自動化できるため、オペレーターの負担を軽減しながら業務効率化が期待できる他、採用難への対応や人件費の削減にもつながります。
【オートコールシステムの活用シーン】
- 医療機関や宿泊施設などでは、予約客へのリマインドに活用できます。予約の確認や変更、キャンセルなどにもスムーズな対応が可能になります。
- 金融機関やクレジットカード会社などでは、支払い期日のリマインドや払い忘れた顧客への督促に利用できます。
- インターネット回線などの通信業者では、顧客へのアフターサービスの提供や別プランやオプションサービスの案内などアップセルに活用できます。
[ケース]
未納顧客への督促対応が負担に…オートコールシステムで業務効率化を目指す
今回ご紹介するお客さまは、1000万口座以上を持つ大手ネット銀行様。インバウンド業務を行いながら、クレジットカードなどの支払いや年会費などが未納の顧客への対応を行なっており、限られたリソースの中でどう対応するかが課題になっていました。
そこで、アウトバウンド業務の効率化を目的に、オートコールシステムを導入することになりました。
もともとコンタクトセンター基盤をアバイア製品で構築されていたため、アバイアのアウトバウンドソリューション「AVAYA Proactive Outreach Manager(以下、POM)」をご提案させていただきました。POMは、電話の他にも、メールやSMSを使って顧客に自動的にアプローチできるソリューションです。
今回は、アウトバウンド専用のCRMから抽出した架電リストに対して、POMを使って自動発信し、顧客に接続すると自動的に空いているオペレーターにつなげるようにしています。POMは、アバイアのIVRソリューション「Avaya Experience Portal(以下、AEP)」上で動くため、顧客に接続後、オペレーターではなくIVRに接続し、自動音声ガイダンスで対応することも容易です。
それでは、お客さま事例をもとにPOMの特長と効果を発揮する使い方をご紹介します!
■ CRMとの連携で応対がスムーズに
POMはCRMと連携できるため、オペレーターは顧客とつながると同時に自動的に表示される顧客情報を確認しながら応対できます。
また、POMが自動発信した電話をオペレーターが対応する場合、専用の通話アプリを利用するのですが、通話アプリは、顧客名などの表示項目の変更など、各企業の運用にあわせてカスタマイズすることもできます。
■ 架電条件の設定も自由自在
督促業務に関しては、朝の8時前や夜9時以降に電話することが法律で禁じられている他、日本賃金業協会の自主規制基本規則では、1日に4回以上の電話連絡は規制されています。
POMでは、自動発信する時間帯の設定や、架電回数を設定することもできるため、こうした規制に準拠しながら効率的なアウトバウンド業務が可能になります。
■ 個別開発でアウトバウンド業務を半自動化
POMが自動発信した結果を自動的にアウトバウンド用のCRMに登録されるように個別開発しました。これにより、CRMから架電リストを手動で抽出→POMによる自動発信→架電結果をCRMに自動登録→CRMから架電リストを手動で抽出…というサイクルを半自動化することができるように。運用の負担をかけずにアウトバウンド業務を繰り返せるようにしています。
また、不在だった顧客から折り返しがあった場合(インバウンドがあった場合)など、架電リストとして登録してしまった顧客への自動発信を止めたい場合は「架電止めリスト」をPOMに登録することで自動発信を制御することができます。今回は、顧客からの折り返しがあるとインバウンド専用CRMに応対記録が残るため、インバウンド専用CRMから対象者を簡単に抽出できる仕組みを開発し、対応済みの顧客に再度コンタクトしないようにしています。
いかにシンプルに連携できるか?通話録音システムとの連携にも注意が必要。
オートコールシステムは、CTIやCRMなど、コンタクトセンターで利用しているさまざまなシステムとの連携が不可欠です。
今回の事例でもオートコールシステムによる自動発信時の応対もきちんと録音できるように、POMと通話録音システムの連携が必須でした。
通常、通話録音システムは通話開始とともに録音を開始し、切電とともに録音を終了します。しかし、POMの場合、オペレーターは専用の通話アプリにログインした状態で待機しているため、これを通話録音システム側が「通話開始」と勘違いして、実際に顧客につながっていない状態から録音を開始してしまうことがあります。
このようなケースでは、通話録音システムには連続して録音可能な時間に制限があるため、いざ顧客につながって録音をしたい…という時に録音されていないということにもつながりかねません。
そこで、S&Iではアバイア製品を多く扱ってきたこれまでの経験なども踏まえ、実際の発話/終話のタイミングで録音を開始/終了できるようにシンプルなシステム間連携で実現しています。
今回ご紹介したお客さまでは、今後は督促業務だけではなく販売促進のために活用することも検討されています。POMは、キャンペーンなど一時的にアウトバウンド業務が増加する場合などにも柔軟に対応することができます。
アウトバウンド業務の効率化や、さらなる営業活動の強化を検討されているお客さまはぜひS&Iまでご相談ください!現在お使いのコンタクトセンター基盤や運用フローに応じたご提案で、お客さまの課題解決をご支援いたします。