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コンタクトセンターDX最前線

コンタクトセンターが音声認識技術を活用した「見る」モニタリングを導入すべき理由

問い合わせ時のコンタクトセンターでの対応は、顧客満足度の向上や企業・サービスの信頼性の獲得において極めて重要な要素になっています。そこで重要になるのがオペレーターの対応を監視し、適切な対応がなされているかをチェックする「モニタリング」です。

本記事では、従来の耳で聞くモニタリングよりもはるかに効率的な、AI音声認識技術を活用した「見るモニタリング」について、その仕組みと導入するメリットをご紹介します。

従来のモニタリングの課題

従来、多くのコンタクトセンターでは、耳による「聴く」モニタリングが主流です。スーパーバイザーがリアルタイムにオペレーターの通話を監視する方法、もしくは、録音データから特定の通話をピックアップし評価する方法です。

こうしたモニタリング手法には、次のような課題が挙げられます。

① 即時対応が難しい

オペレーターの通話から問題を察知して即座にフォローに入るためには、スーパーバイザーに高度な判断力が求められます。状況によっては、問題を聞き落としてしまい、クレームなどのトラブルに発展する可能性もあります。

② 全通話の監視/チェックは現実的ではない

一般的にスーパーバイザー一人当たり10〜15名のオペレーターを担当するため、すべての通話をリアルタイムに監視することは現実的ではありません。また、通話録音データをチェックする場合も全データをチェックすることは現実的ではなく、サンプルチェックが一般的です。

③ 評価基準の統一が難しい

モニタリングでは評価にスーパーバイザーの主観が入るため、センター全体で基準を統一するのが難しいと言われており、多くのコンタクトセンターで複数のスーパーバイザーやマネージャーが同じ応対内容をチェックし、評価のブレを防ぐカリブレーション(耳合わせ)を定期的に実施していますが、カリブレーションを細かく行うにはスーパーバイザーの負担が大きくなります。


特に、スーパーバイザーはオペレーターのコーチングや研修などを担当することも多く、通常の業務に加えて、モニタリングの時間を確保することが難しいのが現状です。最近では、在宅対応しているオペレーターの状況が把握できないといった課題も増えています。


※カリブレーションとは、応対品質の評価基準を統一するための会議やプロセスのことを指します。

音声認識技術を活用した「見るモニタリング」とは?導入する3つのメリット

最近では、AIの音声認識技術を活用し、通話データを自動でテキスト化してチェックする「見るモニタリング」を採用するケースが非常に増えています。

AIの音声認識技術を活用したモニタリングを導入するメリットは次のとおりです。

① 効率的な全件チェック

音声データをチェックする場合はスーパーバイザーがサンプリングして通話を確認しなければなりませんでしたが、音声認識技術を活用することで全通話を自動的にテキスト化し、分析できます。自動分析により、1人のオペレーターが効率的に複数の応対をチェックすることができます。

② コンプライアンスチェックの強化

「解約」や「キャンセル」、値引き交渉に関連するワード、言ってはいけないNGワードなど、クレームにつながるような不適切な発言やネガティブなワードを事前に登録しておくことで、これらのワードが含まれる通話を自動的に検知することができます。クレームの抑制や法令遵守の確認が容易になります。

③ 評価基準の統一

カリブレーションを行わなくても、自然言語解析を活用したネガティブワード検出や音声波形のトレンドを活用するクレーム検知(感情分析)など、音声認識結果をもとにAIに評価させることで、評価基準のブレを防げます。
従来のモニタリングでは、評価者の聞き取り能力や判断力に評価が依存してしまっていましたが、音声認識技術を活用したモニタリングでは、テキスト化された内容をAIのアルゴリズムに基づいた解析を行うため、評価者によって評価結果がバラバラということもなくなり、評価精度の平準化が可能になります。

リアルタイム音声認識なら、より効果的なモニタリングも可能に

さらに、リアルタイムに音声認識できるサービスを利用すると、応対品質の評価だけではなく、そのほかにもさまざまな効果を得ることができます。

■ スムーズなエスカレーション

オペレーターがスーパーバイザーにエスカレーションする際、問い合わせ内容や状況の共有に手間と時間がかかることも問題の1つになっています。オペレーターによっては状況を正確に把握できておらず、適切なエスカレーションが難しい場合もあります。リアルタイムに音声認識できるモニタリングであれば、応対のどこに問題があったのかをスーパーバイザーが直接確認し、スムーズに引き継ぐことができます。

■ スーパーバイザーによる能動的なフォロー

オペレーターによっては、エスカレーションするタイミングの判断ができない場合もあります。また、判断をすべてオペレーター任せにしてしまうと、適切な対応ができず、事前に防げたかもしれないトラブルやクレームにつながってしまうこともあります。
音声認識された結果をリアルタイムにモニタリングすることで、オペレーターがエスカレーションする前にスーパーバイザーが能動的にフォローに入ることができます。従来のモニタリングとは違い、問題のある発話を聴き逃してしまいフォローに入れなかった、フォローに入るべきか判断が遅れてしまったということも回避できるでしょう。

まとめ

いかがだったでしょうか。音声認識技術を利用したモニタリング手法を導入するメリットをご紹介してきました。

今後、テキスト化された会話内容から生成AIが「応対の良し悪しを判断」し、直接オペレーターにアドバイスや気付きを与えてくれる新しい形の品質向上の仕組みも登場するかもしれません。こうしたAI技術をうまく運用に取り入れていくことで、スーパーバイザーやマネージャーなどの管理者は、モニタリングに割く時間を最小限に抑え、オペレーターのモチベーション維持や心のケアなどに時間をかけられるようになるでしょう。

リアルタイム音声認識を活用したモニタリング機能を搭載するサービスとして、応対支援サービス「AI Dig」をご紹介します。AI Digでは、事前登録したワードのラベル表示や応対に時間のかかっているコールのアラート表示などの機能でモニタリング業務の効率化が可能です。どんなことができるのか詳しく聞きたい、実際にデモ環境を使って試してみたいという場合もお気軽にご相談ください。

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