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コンタクトセンターDX最前線

【Vol.20】生成AIの主な種類と特徴とは?コンタクトセンターでのオススメ活用例も紹介

2024/07/19

画像生成や動画生成、テキスト生成や音声生成など、さまざまな分野で生成AIの技術を活用したサービスが登場しています。

コンタクトセンター業務においても、生成AIを活用することで、さらなる業務効率化、応対品質の向上、新たな顧客体験価値の提供などさまざまな期待が集まっています。

今回は生成AIの「テキスト生成」技術にフォーカスし、その特性からコンタクトセンター業務でどのように活用できるのかをご紹介します!





人間らしい振る舞いが得意!生成AIの特性とは?

生成AIというと、Open AIが開発した「ChatGPT」が有名ですが、現在、各社からさまざまな技術が登場しており、Googleが開発したGemini、旧フェイスブックのメタが提供するMeta Llama 3などがあります。

これらの生成AIは、LLM(Large Language Model:大規模言語モデル)という大量のテキストデータを学習して自然言語処理を行うモデルに分類され、広範囲な知識と文脈理解を得意としています。

生成AIは、従来のAIのようにあらかじめデータを与え「答えまでの動線を学習させる」のではなく、事前に与えられた膨大な基礎データをもとに「答えを自ら生成する」点が特徴で、テキスト生成や要約、質問への応答、感情分析などの分野で活用されています。

■ 各社から提供されている生成AIの種類と特徴

Chat GPT
  • ・対話形式の応答を得意としている。
  • ・Microsoft Azure上で利用できる他、開発者向けAPIが提供されており、アプリへ組み込みやすく、ユーザーニーズに応じたカスタマイズが可能
  • ・gpt4-oより、音声・画像をはじめとする複数の形式を扱えるマルチモーダルに対応


Google Gemini(旧 Google BARD)
  • ・Googleが持つ検索アルゴリズムと連携した情報検索とデータ分析を得意とし、テキストだけではなく、画像、音声、動画など複数の形式を扱えるマルチモーダルに対応。
  • ・1度に処理できるトークン数が多く、他の生成AIモデルでは分割して処理しなければならないものも一括で処理が可能。
  • ・Google CloudやGmail、Google Docsなど、Googleの他のサービスとシームレスに統合可能


Meta Llama 3
  • ・オープンソースで、誰でも利用可能。
  • ・APIが提供されており、Metaのクラウドサービスを通じてアプリケーションに組み込み可能。
  • ・パラメーター数が80億(8Bモデル)と700億(70Bモデル)の2つのモデルが用意されている。一般的にパラメーター数が多いほど複雑なタスクに対しても高い性能を発揮できると言われているが、学習が効率的に行われているため、8Bモデルでも高い性能を発揮可能。


Watsonx/Granite
  • ・企業向けの高度なAIプラットフォームwatsonxで提供される自然言語処理と生成AI機能を持つモデル。日本語モデルは、トークナイザーが日本語向けにチューニングされているため、自然な日本語文章の生成と解析が可能。
  • ・大規模な企業での導入を想定しており、セキュリティやコンプライアンス、データガバナンスを重視している。

どんな業務で使える?コンタクトセンターにおける生成AI活用例

まるで人間のように、文章から意図を理解し、文章を生成できるのがLLMモデルの生成AIです。こうした特性を活かして、コンタクトセンター業務でどのように活用できるのかそのアイディアを紹介します。

■ 問題解決のサポート

過去の類似した質問から回答を導き出すことはもちろん、未知の質問に対しても回答候補を生成することが可能になります。これらの技術はAIチャットボットの学習データとしても利用できる他、質問内容から適切な応対プランを提案するオペレーター支援にも活用できます。

■ 問い合わせ内容の深掘り

メールやチャット、電話での問い合わせ内容をテキスト化した結果を深掘りすることで、問い合わせの真意を捉え、顧客ごとにパーソナライズされた対応が可能になります。ニーズにあったサポートやサービスの提供で、より満足度の高い顧客体験が提供できるようになります。

■ 応対履歴の作成

チャットボットや電話での応対終了後に、やり取りした内容を生成AIに要約させることで、問い合わせの背景や顧客の状況など、要点がしっかり網羅された応対履歴の作成が可能になります。担当者の文章力によって生じやすいバラツキを抑えながら、アフターコールワークの効率化が可能になります。

■ オペレーターのアシスト

最初の質問をもとに、生成AIに「次に聞くべき質問」をリストアップさせることで、何に関する問い合わせなのか、オペレーターが用件を推測・理解するための補助機能として活用できます。経験の浅いオペレーターでも的を得たヒアリングが可能になり、顧客に適切なサポートが提供できるようになります。

■ 応対の評価、教育への活用

生成AIは大量のデータをさまざまな角度から迅速に分析することも得意です。顧客とオペレーターのやり取りから、オペレーターの言葉遣いやトーンが適切か、言い間違いや不適切な案内をしていないか、対応時間は適切だったかを分析・評価することができます。評価結果をもとにオペレーターごとのトレーニングプログラムの作成や具体的な改善点などをフィードバックできるため、効率的な教育にも効果的です。また、会話中の顧客とオペレーターの感情を分析し、顧客満足度やオペレーターのストレス度の把握など、センター運営にも活用できます。

コンタクトセンターにおける生成AIの利活用はS&Iにご相談ください!

生成AIはさまざまなシーンでの活用が期待される一方で、まだまだ不完全な部分も少なくありません。例えば、論理的な回答や自然な回答、推論による回答はできるものの、事実とは異なる内容や文脈とは異なる内容を生成してしまうハルシネーションの問題(正確な回答ができない)や、バイアスのかかったデータが含まれる場合などは、ある特定のグループや個人に対しては不適切な回答が発生する場合があります。

また、生成AIは、人の感情の変化やニュアンスを適切に汲み取り、共感することが得意ではないため、予期せぬクレームに発展させてしまう可能性もあります。

そのため、顧客対応のフロント業務の自動化で生成AIを活用することは、現段階では品質の担保が難しく、人が生成AIをチェック→利用→改善するという運用プロセスが不可欠と言えるでしょう。

S&Iでは、こうした生成AIの特性も踏まえて、コンタクトセンターの応対業務での活用を積極的に支援しています。生成AIとやり取りするデータの加工や処理、セキュリティ対策を考慮したサービス設計など、お客さまの業務や運用フローに応じたご提案が可能です。ご興味のある方は、ぜひ、S&Iまでご相談ください。

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