ー井上さん
S&IではCisco製品も積極的に扱っており、私自身、これまでCisco製品の取り扱いに慣れていたため、H3Cのネットワーク製品にすんなり馴染めるか最初は不安がありました。ここでは、検証から見えてきたH3C製品の技術的な特長をご紹介します。
① One OS
まず、H3C製品はすべてComware OSが搭載されており、統一したコマンドインターフェースが提供されています。メーカーによっては機種ごとに異なるOSが搭載されており、コマンド体系が異なることも少なくありません。一方、H3C製品は、一部セキュリティ関連の設定などで、機器ごとのユニークなコマンドはありますが、基本的にはどの種類の機器でも、覚えたコマンドをそのまま使えます。最初は特にですが、覚えなければならないことが単純に少なくなるので、最初のステップのハードルは低くなるのではないでしょうか。他にも、設定作業を単純化したい、自動化したいというときにも便利に活用できると思います。
② ステータス確認のコマンドなどは階層の行き来が不要
例えば、Cisco Catalystでステータス確認をする時に使うshowコマンドは、特権モードで実行するか、特権モード以外で実行する場合は「show」の前に「do」を付ける必要があります。H3Cの場合はどの階層にいても常に「display〜」コマンドでステータス確認が行えます。
些細なことですが、この仕様はかなり便利な仕様だと思います。キッティング中や現地での移行作業の時は、設定変更とステータス確認を何度も行うので、都度、階層を行き来して、ステータス確認を行なうというのがちょっとした手間になりがちですが、H3Cの場合は、設定変更後すぐに「display〜」と入力して確認が行えるので効率的ですね。特に、今いる階層の設定のみを確認するための「display this」というコマンドはかなり便利です。
③ コマンド体系や階層構造がCiscoに類似
H3C製品に触れてみて最もメリットに感じた点は、階層構造の基本的な考え方がCisco製品のものと非常に似ている点ではないでしょうか。Cisco製品を扱ったことのある方は、設定のイメージが付ききやすいと思います。また、テキストベースであらかじめコマンドを作成しておき、CLI(コマンドラインインターフェース)に貼り付ければ一括設定することもできます。この辺りの使い方は、Cisco製品とほとんど同じなので、これまでの慣れたやり方ができなくなって大変…ということもありませんね。
また、H3Cではコマンドエイリアスというものも用意されています。長いコマンドの短縮版を任意で設定することもできるのですが、デフォルトでいくつか用意されており、これを使うと、Ciscoと同じように「show〜」と入力して、H3Cの「display〜」を実行することもできます。この機能を利用すると、ほぼCiscoと同じコマンドが使えるようになるため、Cisco経験者には非常に馴染みやすいと思います。
H3C製品の技術的な特長を3つほど挙げましたが、慣れていないメーカー製品は大変というよりも、異なる仕様もあるけど、これまでの経験や技術も活かしながら扱える!という印象でしょうか。