テレワークの浸透とグループウェアや基幹系システムなどのクラウド移行を背景に、企業のネットワークシステムに対する課題やニーズにも変化が起きています。
今回は、多くの企業が抱える課題を解決するネットワークシステムの在り方について、最近の動向とBBIX様との取り組み事例を併せてご紹介します。
1. テレワークの定着で高まるネットワーク高速化・広帯域化へのニーズ
ガートナージャパンの調査結果によると、テレワークにおけるWeb会議システムの利用拡大を背景に、日本国内でのSaaSの利用率は、2020年の31%から2021年は39%へと一気に伸びていると言います。
実際、ネットワーク環境に対して企業が抱える課題として、「ネットワークの高速化・広帯域化」や「社内無線LAN環境の構築・整備」、「リモートアクセス環境の構築・整備」などが上位に挙げられており、SaaSの浸透と同時に、快適に業務にあたれるネットワーク環境へのニーズが高まっていることが分かります。さらに、DXの推進により、グループウェアやCRMなどの情報系システムや基幹系システムなど、社内のあらゆるシステムを、PaaS/IaaSなどで利用する企業が増えています。今後も、より一層、マルチクラウドへ安定かつ高速に接続できるネットワーク環境への需要が高い水準で維持されると言えるでしょう。
S&Iでは、こうしたニーズも踏まえ、官公庁や法人のお客さまを中心に、安定性、信頼性、安全性の高い快適なネットワーク環境の構築を、回線からLAN内構築、運用支援までトータルでご支援しています。
2. S&Iのネットワークソリューション
1987年の設立以来、特定のメーカー機器に縛られずに最適なネットワーク環境を提供するとともに、課題やニーズを的確に把握し、上流工程を担えるスキルを持つSEが1チームとなって、お客さまのご負担を最小限に抑えたプロジェクト進行をモットーとしています。
① 東京都教育委員会様の事例を紹介!GIGAスクール構想の推進で加速する教育現場への無線LAN環境構築ニーズへの対応
2019年12月にGIGAスクール構想が閣議決定されたことを受け、全国の自治体、教育機関では、学校などへのICT環境の整備が急務となっています。1人1台端末によるオンライン学習基盤の構築を目的に、S&Iでも無線LAN環境の整備をご支援しています。特に、教育現場においては、生徒間での格差が生じないよう、多様な生徒へ最適な学びの場を提供することが重要とされています。そのため、職員や生徒の私物端末(BYOD端末)も安全かつ快適に接続できることも重要なポイントとなります。S&Iでも、東京都教育委員会様におけるTOKYOスマート・スクール・プロジェクトの一環である、「全都立学校255校を対象とした無線LAN環境の整備」を支援させていただきました。
また、2024年度からデジタル教科書の本格導入が始まります。これまで以上に、ストレスなく、高速かつ安定した接続が可能なネットワーク環境が求められるようになります。S&Iでは、今後の長期にわたる運用まで見据えた構成のご提案・構築を通じて、ICT教育の浸透を支援しています。
② ネットワーク環境のクラウド運用で小売・流通業における現場DXを推進!
コロナ禍を背景に消費者行動も大きく変化し、小売業や飲食業などのリアル店舗の運営にも大きな影響を与えています。POSデータや店舗カメラによる顧客行動の分析・活用などだけではなく、QRコード決済やセルフレジなど非接触型の店舗運営や、お客様へのフリーWi-Fi提供などのさらなる付加価値提供など、各店舗のデジタル化が加速しています。一方で、多店舗・多拠点を展開する場合、複雑化したネットワーク環境の運用管理への課題も増加しています。
こうしたニーズに適するソリューションとして注目されるのが、Cisco Merakiです。Cisco Merakiは、クラウド経由で複数のネットワーク機器を一元管理できるクラウド型管理ソリューションです。1台からクラウドで管理でき、運用にかけるコストや人員を削減できる他、拠点の増減にも柔軟に対応できるため、ビジネス成長に応じた運用管理が可能です。また、簡単かつ安全に無線LANに接続できる機能も提供されており、各拠点のデジタル化の推進や付加価値の提供による顧客との新たなつながりの構築にも貢献できるソリューションです。
S&Iは、クラウド型ネットワーク管理ソリューションCisco Merakiの構築支援を通じて、小売業や飲食業はもちろん、流通、教育など複数拠点を運営する企業のDX推進をサポートします。
3. マルチクラウドのニーズにも対応!回線から環境構築までワンストップで提供可能にするBBIX様との取り組み
左:BBIX株式会社 佐々木秀幸氏、右:S&I 小川敦弘
近年、SaaS利用の増加など、企業のクラウドファーストが定着しつつある中で、ネットワークに対する企業の考え方、要望も大きく変わりつつあります。
今回は、アジアNo.1 インターネットエクスチェンジ(IX)事業者として、サービスを展開されているソフトバンクグループのBBIX株式会社(以下、BBIX)より、プラットフォーム事業本部 本部長 佐々木 秀幸氏をお迎えし、S&Iネットワーク事業の責任者である小川 敦弘が、昨今求められるネットワークシステムへのニーズと、それに対応するための取り組みについてご紹介します。
S&I 小川:
最近、オンプレミスからクラウド移行への流れに加え、オフィスツールなどのSaaS利用が主流に。そして、用途ごとに複数のクラウドサービスを利用する「マルチクラウド」へのニーズの高まりとともに、コロナ禍をキッカケにテレワークが一気に進んだことで、会社オフィス内や自宅を含めたさまざまな場所からも主要クラウドサービスが利用されるようになっています。
こうした背景もあり、これまでは単純に「接続できること」を目的としていたお客さまでも、大人数の生徒が教室に集まりオンライン教育を実施する学校やオフィスなど、人が集中する場所での大量の通信や、動画を含む学習教材やオンライン会議での音声や動画などのようなリアルタイム性の高い通信に対しても業務に支障をきたさない快適な接続環境を求めるように変化しています。つまり、可能な限りボトルネックを排除し、お客さまの環境からSaaS環境までの経路全体をいかに最適化できるかが、大きなポイントになっていると言えるでしょう。
S&I 小川 敦弘
S&Iのお客さまでも、回線を含めてオフィスや学校などのLAN内ネットワーク環境を一式で整備したいというご要望が非常に増えており、BBIX様が今年の5月にリリースされたOpen Connectivity eXchange(以下、OCX)を採用し、コストを抑えながら回線スピードの確保とWAN回線の最適化を実現し、業務環境を向上される事例が出てきています。
OCXは、BBIX様のIXプラットフォームを活用し、さまざまなクラウドサービスやデータセンターへオンデマンドで接続できるサービスです。企業規模によらず利用できるため、マルチクラウドへのニーズが高まる今、コストを抑えながらEnd to End通信を行うネットワークシステムを最適化したいという企業様にとって非常にメリットのある仕組みです。
BBIX 佐々木氏:
BBIXは、真のキャリアフリーIX事業者として2003年に設立し、通信事業者、インターネット事業者、大手法人企業を対象に大容量通信を安価に提供できる仕組みを展開しています。
OCXの仕組みは、世の中がオンプレからクラウドに転換し、より大容量の通信が求められている中で、大容量通信基盤+ソフトウェアというコンセプトを元にクラウドネイティブな通信基盤を作りたいという想いで開発したサービスです。ユーザーは、専用ポータルサイト上の管理画面から操作するだけで、さまざまなクラウドサービスやデータセンターへ、高セキュリティかつ低遅延で接続できるようになります。
BBIX 佐々木 秀幸 氏
OCXの強みは、当社のIX基盤にあります。そして、当社のIX基盤の最大の強みは、日本最大級のインターネットバックボーンから直接クラウドに接続できる点にあります。
最近では、最大速度1Gbpsとうたうサービスも多くありますが、実際に使うと、「なんか遅いな、スマホより遅いんじゃない?」という経験をされたことのある方もいらっしゃると思います。実は、最大速度はあくまでも理論値であって、実際にその速度が出せるかどうかは保証されていません。
十分な通信速度で、ストレスなく利用するためには、バックボーンネットワークのキャパシティが重要になってきます。BBIXのサービスは、コンシューマー向けサービスを展開するソフトバンクのバックボーンにも採用されており、国内最大級の容量を持っておりますので、通信速度を担保しながら、マルチクラウド接続などへのニーズにも対応できる最適化されたWAN環境の提供が可能なのです。
当社はこれまで、通信事業者やインターネット事業者、大手法人企業を主なターゲットとしておりましたが、OCXは、業種や規模を問わず、全ての企業様でご利用いただけるサービスです。機器の購入や維持管理の必要がなくなり、購入コストや維持管理コストを削減できるなど運用面でのメリットも大きく、情シス担当のリソースが限られている場合でも安心してお使いいただけます。
今後は、SaaSなどへの接続も拡充していく予定で、DXを推進するための機能をワンストップで提供できるようになることを目指して開発を続けています。
S&I 小川:
BBIX様は、急速に変化する時代のニーズを見据え、来るべき5G・IoT・IPv6時代に向けて、最新のテクノロジーを駆使し、より大きな付加価値を提供し続けていらっしゃいます。
一方で、S&Iは、設立以来法人のお客さまを中心にさまざまなネットワーク環境の構築実績を積んで参りましたが、最近は特に公共系・教育系のネットワーク環境の構築に力を入れています。WAN環境を最適化する仕組みを持つBBIX様とは、ソフトバンクという共通点をキッカケに協業させていただく機会が生まれたのですが、両者の強みやノウハウを生かせるビジネスパートナーとして、目まぐるしく変わる顧客ニーズに対応できる体制を一緒に作らせていただいています。
S&Iでは、回線障害は切り分けが難しく、LAN内を含めて一式任せたいというニーズも増えているため、BBIX様のご支援をいただきながら、回線〜ネットワーク環境の構築・運用までトータルでご提供させていただいています。今後、コストを抑えながら、さまざまなクラウドサービスに快適に接続できるOCXという付加価値の高い仕組みは、あらゆる企業様からご相談を頂く機会が増えてくると考えています。BBIX様のIXサービスの最大の特長である主要クラウドとのピアリングに加え、国内でも最大級の大容量バックボーンによる心地よい通信環境と合わせて、将来ネットワークシステムを見直す際のご参考にしていただければと思います。
4. H3C Digital Tour 2022 大阪に参加!総代理店としてのS&Iの強みとは?
2022年10月20日、コンラッド大阪で「H3C Digital Tour 2022 大阪」が開催されました。H3Cのクライアントやパートナーが参加するイベントで、大阪では初めての開催となります。H3Cの製品は、ルーターやスイッチ、アクセスポイントなど複数レイヤーにまたがる製品を取り揃えており、高品質にもかかわらず、他社製品と比べて投資も抑制できる価格設定が特長です。また、非常にスピーディーな納期に対応しており、S&Iは、2021年より総代理店として多くのお客さまに提供しています。
今回は、S&Iを含むH3Cの総代理店3社から各社の特長や強みを紹介させていただくことに。S&Iからは、常務執行役員の山口徹がお話しさせていただきました。
H3C Digital Tour 2022 大阪の様子
総代理店としてのS&Iの強みとは?
S&Iの強みは、大きく3つあります。
1つ目は、設立以来ネットワーク領域を主力ビジネスとして展開し続けることで培ってきた経験とノウハウです。現在は、高いスキルと経験豊富なネットワークエンジニアが多数在籍し、安心してお任せいただける体制があります。
2つ目は、セールスとエンジニアが1チームで導入をご支援できる体制が整っていることです。H3Cビジネスを推進する主管部門を配置し、お客さまからのお問い合わせに対してスピーディーに回答・価格提示をするとともに、ご要件に応じた最適な構成のご提案が可能です。販売だけではなく、セールスとエンジニアが密に連携し、お客さまが抱える課題をヒアリングしながら最適な環境の構築・運用を支援させていただきます。
そして、3つ目は、ネットワーク機器のご提案・構築だけではなく、ファシリティやネットワーク環境、サーバー環境を含めたインフラ全体の構築・運用支援まで、トータルでご提供できることです。構築はもちろん、日々の運用負担を最小限に抑えられる仕組みと体制をご提案しています。
これまでに、某国立医療センター様における全病棟・全フロアの無線LAN環境構築や、某公共機関様の施設全フロアネットワーク環境の構築など、導入実績も増えてきました。今後も、H3Cが掲げる納期やコスト面での優位性、そしてH3C社とのビジネススキームに加え、35年間で培った技術力でさまざまな角度からご支援できるよう邁進してまいります。