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【Vol.11】コスパ最強!オンプレで利用できるWindows Server HCIとは?

運用管理の煩雑さやコストの増大など、従来の3Tire構成のインフラ基盤の課題を解決するソリューションとしてHCI(ハイパーコンバージドインフラストラクチャ)の導入を検討する企業が増えています。一方で、さまざまなメーカーからHCIソリューションが登場しており、どれを選べばいいのか悩んでいる企業の方も少なくないのではないでしょうか。

本記事では、HCIソリューションの1つである「Windows Server HCI」の概要と特長、S&Iで実際に検証した結果、見えてきた注意点などを解説します。

Windows Server HCIとは?基本的な仕組みと特長

Windows Server HCIはMicrosoftが提供するHCIソリューションです。仮想化基盤として「Hyper-V」、ストレージ技術として「記憶域スペースダイレクト(Storage Space Direct:S2D)」を利用してHCIを構成しています。

また、Windows Server HCIはWindows Server Datacenter Editionの標準機能として提供されているため、導入にあたって追加ライセンスやソフトウェアを購入する必要がありません。WindowsゲストOSのライセンスも含まれているため、コストパフォーマンスは優れていると言えるでしょう。Windows Server環境でHCIを構築したい、コストを抑えてHCIを導入したいという場合にオススメのソリューションです。


[Windows Server HCIの概要]
  • ・Windows Serverの機能の1つとして提供される
  • ・仮想化(Hyper-V)、ストレージ(S2D)、ネットワークを一元管理できるオールインワンインフラ
  • ・ライセンス費用やソフトウェアの追加購入が必要なく、コストメリットが高い

Windowsから提供されているもう1つのHCIソリューション「Azure Local」との違い

前回の記事でMicrosoftが提供するHCIソリューションとしてAzure Local(旧 Azure Stack HCI)をご紹介しましたが、Azureと連携することが前提となるAzure Localに対し、Windows Server HCIはAzureと連携しない環境でも利用できます。

他にも、ライセンスの提供形態やアップデート管理など運用方法に違いがありますが、どちらもHyper-VおよびS2Dを利用しており、仮想基盤のコアな技術は共通になります。既存のWindows Server環境を活かしたい場合はWindows Server HCI、Azureと連携したハイブリッドクラウド環境でHCIを利用したい場合はAzure Localなど、用途や目的に応じて選択するのがオススメです。

専用SANが不要に!シンプルな構成かつ従来技術を活用できる

Windows Server HCIを構成するHyper-V、S2D、WSFCなどの技術は、Windows Serverで利用していた技術の延長にあることが分かります。Windows Serverの経験のある技術者は扱いやすいソリューションと言えるでしょう。

Windows Serverを用いた3Tier構成で、共有ディスク(SAN)を利用してフェールオーバークラスターを組む場合、iSCSI、ファイバーチャネルなどストレージ製品の知識が必須になるため、技術的なハードルが非常に高くなります。

一方で、Windows Server HCIで仮想的な共有ストレージを提供する「S2D」は、専用のSANが不要になるためSANストレージ製品の知識は必要ありません。Windows Serverの技術があれば容易に構築できます。

ただし、より高度にかつ最適な構成にするためには、QoS(Quality of Service:通信の品質を保証するための技術)やFlow Control(ノード間におけるデータ転送のレートを管理するための技術)などのパラメーターも意識する必要があります。

Windows Server HCIを利用する場合は保守サポートの考慮も忘れずに

Windows Server HCIを利用する場合、Windows Serverそのものにはテクニカルサポートが付属していません。基本的にはMicrosoft公開ドキュメントやナレッジベースを基にお客さま自身で対応していただくか、インシデント制で技術問い合わせができるインシデントサポートをMicrosoftと契約していただく必要があります。

なお、ハードウェアメーカーからソフトウェアとハードウェアを一括調達する場合は、Windows Server HCIを構成するコンポーネント(Hyper-V、フェールオーバークラスター、S2D)に発生した障害を復旧させるためのトラブルシュート支援などが含まれる保守メニューも提供されているので、購入の際に合わせて検討するのもオススメです。

ただし、いずれの場合もログの詳細解析や修正バッチなどの提供は対象外となるため、運用担当者にはWindows Serverに関する知識が求められます。導入の際は、運用体制を整えられるかも含めてご検討ください。

まとめ

これまで利用していたWindows Serverの環境を有効活用しながらコストを抑えてHCIを導入できるのがWindows Server HCIです。セキュリティの観点からクラウド環境を利用できない場合にも、オンプレ環境で利用できるHCIとしてオススメです。

S&Iでは、Windows Server HCIをはじめとしたHCIソリューションの構築支援を多く扱っています。現行のシステムを移行する場合にどのHCIソリューションにすればいいのかなどのご相談も受け付けておりますので、お気軽にご相談ください。

【この記事の執筆者】HCIタスクチーム(三室 淳也・大石 風也・種子田 楓)

お客さまへの提案、導入活動を行っているエンジニアが中心になって、各メーカーから提供されているハイパーバイザーやHCIソリューションの機能検証を行っています。各製品の特徴や導入時の注意点などを洗い出しながら、お客さまに最適なご提案や確実でスムーズな導入作業が行えるよう日々検証を重ねています。

左から、大石 風也・三室 淳也・種子田 楓

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