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情シス担当者のためのサーバー/プラットフォーム Tech Blog

Dell VxRail導入成功事例に学ぶ、
運用のしやすさとサポート力

Dell VxRail(以下、VxRail)はDell Technologiesが提供するハイパーコンバージドインフラストラクチャです。詳しい特長やメリットなどについて前回の記事でご紹介しましたが、中でも特に注目すべき点が、充実したサポート体制です。

突然のハードウェア障害や仮想基盤トラブル、担当者の異動や退職、あるいは仮想化やHCIに関する社内ノウハウの不足など、限られた体制で運用を行っている企業にとって、迅速かつ的確に対応できるかどうかという不安が常に伴います。

本記事では、このような不安を軽減する手段として、「手厚いサポート体制」を重視し、VxRailを導入した事例を2つご紹介します。

VxRailのサポート体制、その特長とは

事例の紹介に入る前に、改めてVxRailのサポート体制について整理しておきましょう。

VxRailは、DellがVMwareと共同設計したHCI(ハイパーコンバージドインフラストラクチャー)製品で、ハードウェアとソフトウェアが一体となったソリューションです。

通常、仮想基盤では、サーバーはA社、ストレージはB社、仮想化はC社というようにサポートを提供するベンダーが異なるため、障害が発生した際に、ストレージなのか?サーバーなのか?仮想化層なのか?と原因を切り分けなければなりません。さらに、異なるベンダーにそれぞれ問い合わせる必要があるため、原因が分からないまま、たらい回しになることも少なくありません。一方で、VxRailのようなHCI製品は、ハードウェアとソフトウェアを単一ベンダーで一括サポートしてくれるため、障害発生時の複雑さが軽減できます。

特に、VxRailの場合はハードウェア・ソフトウェアの窓口が一本化されており、ハード・ソフトのどちらで障害が発生した場合でも問い合わせを行えばDell側でハードかソフトかを切り分けた上で適切な担当を割り当ててくれます。問い合わせのたびに部門間や製品担当をたらい回しにされることがなく、一貫したサポート体制のもとで、安心して運用が可能です。

また、バージョンアップの自動化やライフサイクルの一元管理ができる点もハードとソフトが一体となったHCI製品ならではと言えるでしょう。

構成変更時やトラブル発生時にも構成の整合性を簡単にチェックでき、トラブル対応が効率的に行えるほか、バージョンアップのワークフロー化・自動化により、日々の運用負担を大幅に軽減できます。

VxRailは、こうしたHCI製品の利点に加え、DellがVxRail全体を責任持って対応してくれる点が、より安心感につながっています。特に、VMwareの買収以降に導入された新たなVAO契約により、サブスクライセンスの全範囲にまでサポート対象が拡大されており、これまで以上に安心して運用できるサポート体制が整っています。
旧OEM VAOサブスクリプション
VxRail Manager VxRail専任チーム VxRail専任チーム
vSphere VxRail専任チーム VxRail専任チーム
vSAN VxRail専任チーム VxRail専任チーム
内部vCenter VxRail専任チーム VxRail専任チーム
外部vCenter 別契約 VxRail専任チーム
NSX 別契約 VxRail専任チーム
Aria Suite 別契約 VxRail専任チーム
TKGs 別契約 VxRail専任チーム
HCX OEM購入不可 VxRail専任チーム
Data Service Manager OEM購入不可 VxRail専任チーム
スクロールできます

導入事例①Dellサポート活用でバージョンアップ作業の負担を軽減

VxRailは、スモールスタートできる点や、ノードの追加によってクラスタ全体のディスクI/Oパフォーマンスを向上させられる点で、VDIとの相性が非常に高い製品です。

今回ご紹介する事例では、VDI基盤としてVxRailを採用し、VDI製品としてOmnissa Horizonを組み合わせた構成としたことで、Dellによる一元的なサポートを受けつつ日々の運用負担を大幅に軽減しながら、システムを最新の状態に維持できる環境を実現しています。

[課題]

このお客さまでは、もともとVDIを利用しており、ソフトウェアはなるべく最新状態に保つことで、メーカーサポートを受けられる状態を維持したいと考えていました。しかし、vCenter/ESXi/Horizonなど複数のコンポーネントに対して継続的なバージョンアップが必要で、対応の手間や負担が大きく、結果的に導入時のバージョンのまま塩漬け状態となっており、メーカーから十分なサポートが受けられない状態に陥っていたといいます。

Omnissa Horizonのソフトウェアサポート期限は、3年間の一般サポートとその後1年間の技術ガイダンス提供の計4年間です。そのため、一般的なシステムの更新・更改サイクル5年間のあいだ、ソフトウェアをバージョンアップせず、塩漬けのまま運用することはできません。5年間運用するためには、いずれかのタイミングでバージョンアップが必要となります。

さらに、互換性の点から、Horizonのバージョンアップに伴い、vCenterやESXiも併せてバージョンアップが必要になるケースが多く見受けられます。そのため、Horizon単体のバージョンアップにとどまらず、互換性の確認やバージョンアップ先の選定、検証作業などが追加で発生し、想定していた以上に多くの工数がかかることも少なくありません。また、互換性の見落としが原因で、システム全体の不具合や再作業につながるリスクもあるため、慎重な対応が求められます。

[導入後の変化]

VxRailを採用したことで、vCenter/ESXi/ファームウェアのバージョンアップをDellサポートに対応してもらうことができるようになりました。
そのため、お客さまはHorizonのバージョンアップ作業に集中することが可能になったといいます。また、DellサポートはHorizonのバージョンを伝えれば、vCenter/ESXiのバージョンアップ先が互換性上問題ないかを確認してくれるため、互換性の見落としのリスクも最小限に抑えられるようになりました。

このように、VxRailでは、Dellサポートによるバージョンアップサポートを受けられるため、日々の運用負担を抑えながら、システムを最新の状態に維持するためにも、ぜひ積極的に活用していただければと思います。ただし、バージョンアップの作業スケジュールは、Dellサポートと要相談のため、バージョンアップが見えてきたら早めの相談をオススメします。

導入事例②パフォーマンスを維持しつつ、運用機器を削減し属人化を解消

2つめにご紹介する事例は、社内利用されている業務システムを集約する仮想基盤をVxRailへ移行した事例です。

HCI構成でありながら、DellのスケーラブルオールフラッシュストレージPowerStoreを接続することで高パフォーマンスな業務システムへも対応可能にしています。また、Dellによる一元的なサポートを受けられるようになったことで、運用に求められるスキル範囲を最小限に抑え、属人化からの脱却を実現しています。

[課題]

このお客さまでは、業務システムが稼働する3Tier構成の仮想基盤において、サーバー・ストレージ・SANなど複数の機器を個別に管理していました。そのため、習得すべき知識が多岐に渡り、後継者に引き継ぎたくても引き継げない状態で、運用管理が属人化してしまっていたといいます。

サーバーの管理だけに集中できるように、ストレージ・SANを廃したHCI構成に興味はあったものの、3Tierと同等のディスクI/O速度が出ないと業務に影響が出るなどの懸念もあり、HCIの導入に踏み切れない状態にありました。

業務システムが集約された仮想基盤の場合、仮想マシンごとにCPU、メモリ、ディスクI/Oの要件が大きく異なることが一般的です。特にデータベースサーバーのようにリソース消費が激しいサーバーもあるため、全体のリソース設計に注意が必要です。

前回の記事でも触れたとおり、最新のVxRailでは、vSAN Original Storage Architecture(OSA)構成とvSAN Express Storage Architecture(ESA)のどちらの構成をとることも可能です。

このうち「キャッシュ(SSD)」と、「キャパシティ(HDD/SSD)」のハードウェアを組み合わせる2層アーキテクチャーのOSA構成では、1台の仮想マシンで高いディスクI/Oが求められるシーンにおいて、性能面で限界が生じることもあります。特にデータベースサーバーはディスクI/Oに対する要求がシビアなことも多く、ディスクI/Oがボトルネックになることで、アプリケーションのレスポンス遅延、バックアップウィンドウ内にバックアップが収まらないなど、ユーザビリティ・運用上の問題が発生するリスクがあります。

一方、ESAは、25GbE以上のNICを推奨するNVMeベースの単一アーキテクチャーであり、高いディスクI/O要件に対応できる可能性があります。ただし、ESA構成はどうしてもコストが高くなる傾向にあり、数台〜十数台の仮想マシンのためにそこまでコストをかけるのか、というコストバランスをどう見るかという検討事項もありました。

[導入後の変化]

そこで、VxRailを従来どおりOSA(SSDのオールフラッシュ構成)としてESAに比べてコストを抑え導入しつつ、ディスクI/O性能が求められるサーバーについてはPowerStoreを接続して、そちらでディスクI/Oを処理する構成を採用いただきました。これにより、全体的なコストを最適化しながら、PowerStoreによる高速3Tier領域と、VxRailによる中速HCI領域の共存を1クラスタで実現しました。

運用の属人化という点では、仮想化基盤を1クラスタにしたことで運用負担が大幅に軽減されています。また、仮想基盤のバージョンアップ作業はDellサポートに任せ、自分たちは仮想マシンやヘルプデスク業務に専念できる体制が整ったことで、属人化からの脱却と運用の効率化を実現しています。

まとめ

いかがだったでしょうか。今回は、VxRailを導入したことで、属人化やリソース不足といった運用の根本課題をクリアし、運用の負担軽減を実現されたケースを2つご紹介しました。

HCI製品は多くのメーカーから提供されていますが、VxRailはサポート体制の充実度に定評があり、運用のしやすさを実感している企業が増えています。2つめの事例でご紹介したように、「3Tier構成のパフォーマンスを維持したいから」と、HCI製品の導入に踏み切れないケースもありますが、そうした課題に対してもDellの製品ポートフォリオを活用して適切な構成をご提案することが可能です。

ITインフラの運用負担を軽減したい、属人化を見直したいという方は、ぜひ、S&Iにご相談ください。

【この記事の執筆者】新井 健太(あらい けんた)

サーバーエンジニアとして、業種問わず多くのお客さまへVDIのご提案および導入に携わる。働き方改革や端末セキュリティ向上を目的としたご支援を多く手がけてきた経験をもとに、最近ではプリセールスエンジニアとしてVDIはもちろん、HCIやハイブリッドクラウドなどの技術検証から提案に至るまで、お客さまがインフラに抱える課題に対して、技術的な側面からの解決に向けた柔軟な提案を行っている。

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