Hyper-V利用に当たっては買い切り型のWindows Server Datacenter Editionライセンスを購入することが一般的ですが、このライセンスにはハイパーバイザー機能(Hyper-V)、Hyper-V上で稼働するWindows Server仮想マシンライセンス、ハイパーコンバージドインフラストラクチャ機能(Windows Server HCI)、ネットワーク仮想化機能(SDN)が含まれています。
基本的な仮想基盤の機能はもちろん、そのほかにも標準で多くの機能が搭載されているので、これらを活用することで運用課題を解決できる場合もあり、いろいろ試せるのがポイントです。Windows Server仮想マシンを無制限に立てられるライセンスとなるため、仮想マシンとして稼働させる業務システムでWindows Serverを主に使用されている場合はよりおトクに利用できます。
一方、VMware ESXiはハイパーバイザー機能以外にハイパーコンバージドインフラストラクチャ機能(vSAN)やネットワーク仮想化機能(NSX)を使用したい場合は最上位のエディションであるVCF(VMware Cloud Foundation)を購入する必要があります。どの機能も高機能ではありますが、ライセンス費用が高くなる傾向にあります。
また、Broadcomの買収に伴うライセンス体系の変更により、サブスクリプション型での提供のみになったことと、Broadcomが定義する顧客セグメントに応じて購入できるライセンスに制限が設けられたことが大きな変更点となります。顧客セグメントによってはVCFやVVF(VMware vSphere Foundation)しか購入できず、旧VMware vSphereライセンスで十分対応できていたお客さまでも、コストが上がってしまう場合があります。
Hyper-VでもVMwareが提供するような仮想基盤としての主要機能は利用できるため、下記のような標準的な仮想基盤の機能が使用できればいいという場合は、Hyper-Vへの切り替えが十分検討できると考えられます。
【VMware、Hyper-Vともに使える機能】
- 筐体障害時の仮想マシンフェールオーバー機能(HA)
- 仮想マシンライブマイグレーション機能(vMotion)
- ホスト負荷に応じて仮想マシンを自動ライブマイグレーションして負荷を均す平準化機能(DRS)
また、Hyper-Vは、リリースから10年という長期のサポート期間によりメジャーバージョンアップせずに運用が終えられるのも特長の1つです。Windowsのため定期的にWindows Updateを行うことが推奨となるものの、ハードウェアの保守切れにともなう仮想基盤の更改まで同じメジャーバージョンを利用し続けることができます。
VMwareはメジャーバージョンリリースからフルサポート期間は5年(最終的なサポート終了までは7年)のため、定期的にメジャーバージョンアップが必要となります。システム安定稼働のために大幅なアップデートはなるべく控えたい場合はHyper-Vの方がオススメです。
高度な機能が豊富に搭載され、データセンターなどでも利用されるVMwareに対し、Hyper-VはWindowsライセンスに組み込まれており、仮想化のための基本機能が十分搭載されているため、インフラとしてのコスト削減/安定稼働をしたいというお客さまはHyper-Vへの乗り換えを検討してもよいのではないでしょうか。