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情シス担当者のためのサーバー/プラットフォーム Tech Blog

保守サポートがさらに強化された?
Dell VxRailの特長やVMwareの買収後の変更点について解説

Dellが提供するアプライアンス型HCIソリューション「VxRail」は、VMwareとの唯一の共同設計製品として注目されています。VMware買収を受けて、新規販売が一時停止するなどの事態もありましたが、現在ではサポート体制のさらなる充実、機能面の進化を遂げて提供されています。本記事では、HCIソリューションの導入や別製品からの乗り換えを検討している方に向けて、VxRailの概要と特長を分かりやすく紹介します。

VxRailとは?

VxRailは、VMwareとDellが共同設計した、ハードウェアとソフトウェアが一体となったアプライアンス型HCI製品です。BroadcomによるVMware買収後の新たなライセンス体系では、vSAN機能が含まれるVMware vSphere FoundationまたはVMware Cloud Foundationのいずれかのサブスクリプションライセンスが必要になります。VMware買収直後は一時停止していたDell OEMでのサブスクリプションライセンスもDellがVAO契約を締結したことで再開しているためハードウェア・ソフトウェアともにDellから調達可能な状態に戻っています。

VxRailの特長

① 簡単セットアップ

VxRailを利用するためのソフトウェアやサポートツール、データ保護オプションなどのコンポーネントがインストールされた状態で出荷されます。製品が届いたら、事前準備されたネットワークに接続して電源をONにするだけでクラスタを構築する準備が整います。

拡張時は、追加ノードを同じネットワークに接続すればノードが自動的に検出され、操作画面にて必要事項を入力していくだけで拡張できるため、小規模で始めて順次拡張していくことも可能です。ハードウェアは既存ノードの+2世代までサポートしているため、初期導入と拡張で期間が空くことでハードウェア世代が変わってしまった場合も安心して拡張ができます。拡張時には既存ノードのvSphereバージョンを新ノードのvSphereバージョンまでアップデートすることが原則ですが、次に紹介するワンクリックアップデート機能でアップデートも簡単に行えます。

② ワンクリックアップデート

VxRailはvSphere Clientの画面上で必要事項を設定していくだけで、仮想マシンを停止せずに簡単にアップデートが可能です。DRSにより自動的に仮想マシンを退避させながら、全サーバー台数分順次アップデートを実行できます。サーバー台数分手作業を行う必要がないため、アップデート作業にかかる手間を大幅に削減できます。
一般的なvSphere環境の場合、ファームウェア・ドライバー・ESXi・vCenterなどのアップデートをそれぞれ行う必要があることから、互換性の見落としがあとから発覚することがあり得ます。一方、VxRailはDellで検証済みかつ互換性があるファームウェア・ドライバー・ESXi・vCenterが1つのisoイメージにまとめられており、これをvSphere Clientからアップロードすることで各コンポーネントのアップデートを行います。そのため、互換性がない状態で運用してしまうということを抑制できます。

③ PowerStore、Unityとの接続をサポート

VxRailはiSCSI、NFSといった外部ストレージとの接続をサポートしており、Dell製のPowerStore、Unityなどのストレージ製品が公式に認定されています。
HCIはノードを増やすことでクラスタ全体のディスクI/Oを向上させることができますが、1台の仮想マシンで高いディスクI/Oが求められる場合では性能面で限界が生じることがあります。VxRailではディスクI/O要求の高い仮想マシンを搭載したい場合、VxRailに内蔵されたストレージのスペックをあげるのではなく、PowerStoreのようなNVMe SSD対応ストレージを接続し、高負荷な仮想マシンの格納場所にする構成を取ることが可能です。VxRailのアップデートの簡単さ・サポートの手厚さには魅力を感じていたものの、パフォーマンス面で懸念を持たれていて採用に踏み切れなかったお客さまも、VxRailとPowerStoreを組み合わせた仮想基盤にすることでパフォーマンス・運用両方のメリットを実感いただけると考えています。

また、VxRail上のvSANデータストア領域にさほどパフォーマンスを要求されないインストールメディアやテンプレートを配置するのではなく、UnityのようなNFS対応ストレージを接続して低速でよいデータの置き場にすることも可能です。

このような多様な構成が可能なのは、VxRailに加えて豊富なストレージのラインアップを展開しているDellならではの強みと言えるでしょう。

VAO契約でさらに強化!VxRailの保守サポート

VxRailの保守サポートでは、ハードウェアとソフトウェアの両方のサポート窓口が一元化されており、トラブル発生時には、Dell Technologiesの提供するサポート窓口に電話やメール、Webから問い合わせることで、スムーズにサポートしてもらえます。ハードウェアでの障害なのか、ソフトウェアでの障害なのか、お客さま自身で切り分けする必要はなく、すべて、Dell Technologies社員がリモートで対応し、必要に応じてオンサイトでの修理・交換も実施します。また、24時間365日いつでも、日本語によるサポートが提供されている点も非常に安心感の高いサポート体制と言えるでしょう。

このように、VxRailは以前から手厚い保守サポートも魅力のソリューションでしたが、VAO契約に変更になったことで、保守内容がさらに強化されています。

新たなVAO契約においては、これまで、VxRailの管理する範囲(内部vCenter、vSphere、vSAN)に限定されていたサポート範囲が、NSXやAria Suiteなどサブスクライセンスの全範囲にまで拡大されています。サブスクライセンスに含まれる全機能に対して、何か問題が生じた際は、Dell Technologiesの担当者がしっかりサポートしてくれるので安心です。
旧OEM VAOサブスクリプション
VxRail Manager VxRail専任チーム VxRail専任チーム
vSphere VxRail専任チーム VxRail専任チーム
vSAN VxRail専任チーム VxRail専任チーム
内部vCenter VxRail専任チーム VxRail専任チーム
外部vCenter 別契約 VxRail専任チーム
NSX 別契約 VxRail専任チーム
Aria Suite 別契約 VxRail専任チーム
TKGs 別契約 VxRail専任チーム
HCX OEM購入不可 VxRail専任チーム
Data Service Manager OEM購入不可 VxRail専任チーム
スクロールできます
なお、サポートプランは以下の2つから選ぶことができますが、弊社では「ProSupport Plus」を推奨しています。ProSupport Plusでは、バージョンアップなどの作業もDell Technologiesのサポート窓口にお任せできます。さらに、ハードウェア保守切れによる更改時には、新旧ノード間の適合性チェックや交換作業の操作ガイドをDell Technologiesのサポート窓口でサポートしてもらうこともできます。計画的な更改支援も提供されるなど、日々の運用負担をさらに軽減できるでしょう。
ProSupport 24時間365日対応の標準的サポートを提供
ProSuppor Plus 予防保守・アップグレード支援など、より高度なサポートを提供
スクロールできます

2つの進化軸で進化を続けるVxRail

VxRailはVMware vSANの機能進化とDell PowerEdgeサーバーの世代進化という2つの軸で継続的に機能強化が図られています。

vSANの進化

VxRail 8.0はvSAN 8.0を採用しており、すべてのディスクをNVMe SSDで構成することで、Express Storage Architecture(ESA)による構成が可能です。従来のキャッシュ層(SSD)・キャパシティ層(SSDまたはHDD)のOriginal Storage Architecture(OSA)と比較して、ディスクI/Oパフォーマンスや容量効率に優れた方式を利用できます。ESAは、vSAN 8.0 U3まで継続的に機能強化が行われています。

HCIでは、ノードを増やすことでクラスタ全体のディスクI/Oを向上させる仕組みとなりますが、ESA構成とすることで、理論上はOSAより少ないノードでも同等のディスクI/Oを確保することもできます。

Dell PowerEdgeサーバーの世代進化

現在のVxRailは第16世代のPowerEdgeサーバーがベースとなっていますが、Dellは既に第17世代のPowerEdgeサーバーを発表しており、今後VxRailも第17世代のサーバーがベースとなったモデルが発表されることが想定されます。世代が上がることで、CPU・メモリ・ディスクなど次世代のものが使えるようになり、より高パフォーマンスなVxRailを構成できるようになっていくでしょう。


VxRailはもちろん、HCIソリューションの構築、移行などをご検討の方は、ぜひ弊社までお声がけください。

【この記事の執筆者】新井 健太(あらい けんた)

サーバーエンジニアとして、業種問わず多くのお客さまへVDIのご提案および導入に携わる。働き方改革や端末セキュリティ向上を目的としたご支援を多く手がけてきた経験をもとに、最近ではプリセールスエンジニアとしてVDIはもちろん、HCIやハイブリッドクラウドなどの技術検証から提案に至るまで、お客さまがインフラに抱える課題に対して、技術的な側面からの解決に向けた柔軟な提案を行っている。

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