MENU
情シス担当者のためのサーバー/プラットフォーム Tech Blog

コスパ最強!
クラウドストレージWasabiの魅力を徹底解剖

昨今、ベーパレス化やクラウドサービスの利用など、業務で扱うデータの電子化が進んだことで、企業が扱うデータ量は増えており、そのデータの保管、バックアップ、運用にかかるコストは年々増加傾向にあります。特に、オンプレミス環境ではほとんど使われていないデータにも高額なインフラ環境を用意しているケースが多く、非効率な運用が問題になっています。

ストレージコストの最適化が、今まさに企業の競争力を左右する時代に突入していると言えるでしょう。コストとパフォーマンス、どうやってバランスをとるべきか。こうした課題に対して、Wasabiのクラウドストレージは有効な選択肢となります。

本記事では、Wasabiのクラウドストレージの概要と特長をご紹介するとともに、おすすめの活用方法をご紹介します。

Wasabiホットクラウドストレージとは?

法人向けクラウドストレージと言えば、Amazon S3、Microsoft Azure Blob Storage、Google Cloudなどが有名ですが、Wasabiホットクラウドストレージは、クラウドストレージ専業メーカーWasabi Technologies, Inc.が提供するクラウドストレージです。

Wasabiについて

Wasabi Technologies, Inc. は、2017年に設立した企業で、アメリカに本社があります。「クラウドストレージのコストを最大80%削減し、より高速かつシンプルにできるとしたら?」というコンセプトからスタートしており、シンプル・低価格・高速・安全・安全なストレージを提供することをミッションとしています。日本では2020年から本格展開されており、東京と大阪のリージョンを活用できるため、国内利用にも適しています。

なお、Wasabiには、従量課金制と容量予約制の2つのプランがありますが、従量課金制は1TBからの契約で、ファイル共有や共同作業に…という使い方がメインと言えるでしょう。企業のITインフラの1つとして利用する場合は、契約期間と容量に応じた費用が適用される容量予約制がオススメです。本記事でも容量予約制のプランを前提に記載していきます。

Wasabiの特長とメリット

では、企業のインフラにWasabiをオススメする理由を3つ、ご紹介します。

① シンプルな料金体系で予算が立てやすい

Wasabiの最大の魅力は、圧倒的なコストパフォーマンスではないでしょうか。
多くのクラウドストレージがAPI利用による課金設定を行なっているのに対し、Wasabiの場合は、データ転送量やAPI利用による課金はなく、容量による課金のみです。

API課金の仕組みがある場合、バックアップの取得やデータのリストアといった操作を行うたびに、追加料金が発生することがあります。たとえば、バックアップの頻度が高ければその分課金され、リストアの際にはデータの転送量に応じた料金がかかることもあります。このような仕組みでは、毎月の利用コストを正確に予測するのが難しく、予算計画にも不安が残ります。一方、Wasabiの場合は、容量課金のみのため、コストの見通しが立てやすく、予算計画もスムーズに行えるのも大きな特長です。


② 東京-大阪間のレプリケーション機能を無料で利用可能

Wasabiは、国内では東京リージョンと大阪リージョンの2つのリージョンを提供しており、リージョン間でのレプリケーションを無料で利用できます。

レプリケーション機能とは、ある場所にあるデータを別の場所に自動的に複製・同期する仕組みのことで、災害対策や可用性、データ保護の目的で搭載されています。Wasabiの場合、東京リージョンに保管されているデータを大阪リージョンにも複製することで、万が一災害などで、一方のリージョンが停止してしまった場合も継続的にデータにアクセスできます。
また、オススメの理由①でもご紹介しましたが、Wasabiはデータ転送量やAPI利用による課金がありません。契約時の容量に達するまで追加費用なしでレプリケーション機能を利用できます。追加のストレージや転送コストがかからないため、コストを抑えながらBCP対策の強化も可能です。


③ Amazon S3との完全互換

Amazon S3は、法人向けクラウドストレージで大きなシェアを持っており、バックアップソフトやアーカイブツール、データ移行ツールなど、Amazon S3に対応するツールが多く提供されています。Wasabiは、Amazon S3との互換性があるため、Amazon S3対応ツールをそのまま利用できます。

Wasabiの製品ラインアップと活用例

Wasabiの製品ラインアップ

Wasabiには、メイン製品の「Wasabi Hot Cloud Storage」、動画や音声、画像などのメディアデータに特化した検索エンジンを統合したストレージ「WasabiAIR」、監視カメラデータの保護に特化した「Wasabi Surveillance Cloud」、クラウドと連携できるネットワーク接続型ストレージ「Wasabi Cloud NAS」の4つの製品ラインアップがあります。

今回は、メイン製品であるWasabi Hot Cloud StorageとWasabi Cloud NASの活用例を紹介したいと思います。

活用例①:Hot Cloud Storageによるバックアップデータの保管

1つめにご紹介するのは、Hot Cloud Storageをバックアップデータの保管先にする活用方法です。

昨今、BCPの観点から、遠隔地へのバックアップの二次保管を必須としている企業が増えています。そのようなニーズに対して、コストを抑えながら安全にバックアップを保管したい場合には、WasabiのHot Cloud Storageがオススメです。

Wasabiは主要なバックアップソフトウェア(例えば、S&Iでも提案機会の多いVeeam Backup&Replicationなど)に対応しており、既存の環境にスムーズに統合できる安心感があります。(ただし、一部の製品では、上位エディションを選択しないとバックアップデータをクラウドに保存できないものもあるので、バックアップデータの保存先としてWasabiを利用する場合は注意してください。)

また、Wasabiはセキュリティ面でも高い信頼性を備えており、本番データと同等のセキュリティレベルが求められるバックアップデータの保管先として、安心して採用いただけるのではないでしょうか。

[Wasabiのセキュリティ]
  • ・データを転送中も保管中も暗号化
  • ・多要素認証とシングルサインオンでアカウントの乗っ取りやデータの流出を防止
  • ・データが変更できない状態でオフサイトに保存されるオブジェクトロック機能で、サイバー攻撃などへの耐性を強化


なお、先ほどご紹介した通り、Wasabiは容量課金のみなので、バックアップの回数を増やしてAPI課金が増えることも、リストアテストを行って通信量課金が増えることもありません。

活用例②:Wasabi Cloud NASを活用してファイルサーバーとして利用する

容量予約制の場合、Wasabiの最小契約容量は25TBです。バックアップ用途では使い切らない分を別の用途に使うことも可能です。

そこでオススメしたいのが、Wasabi Cloud NASです。Wasabi Cloud NASを利用すると、アプリケーションダウンロードから数分でWindowsサーバーからWasabiのクラウドストレージをローカルのNASのように使えるようになります。

例えば、Active DirectoryメンバーであるWindowsファイルサーバーにWasabi Cloud NASを導入することで、WasabiのTiering機能を使って、利用頻度の低いコールドデータを自動的に階層化することができます。そうすることで、ローカルサーバーには利用頻度の高いホットデータ量だけ保管できるため、ファイルサーバーの容量を節約することが可能になります。

Wasabi Cloud NASにはObject Storageの機能も含まれるため、Hot Cloud Storageと比べると価格は高くなりますが、Object Storage/Cloud NAS両方の機能を利用することができるため、25TBという容量を使い切らないというケースでは、将来的な拡張性や柔軟な運用を見据えるとWasabi Cloud NASを選択しておくことは非常に有効だと思います。

まとめ

いかがだったでしょうか。今回は、クラウドストレージ専業メーカーが提供するWasabiというクラウドサービスについて特長とその活用方法についてご紹介しました。

2つめでご紹介した活用例は、HCI環境でも活用することができます。
大容量ファイルサーバーをHCI上の仮想マシンとして運用しようとすると、HCIノードあたりのディスク容量が大きくなるため、全ノードに対してかかるライセンス費用が増加する傾向にあります。そのため、初期投資を抑えるため、ファイルサーバーのHCIへの搭載を避けるケースも見受けられます。
こうしたケースでは、Cloud Tier機能を活用することで、HCI上のファイルサーバー仮想マシンの外部ストレージとしてWasabiを利用できます。HCIにはローカルに必要な最小限のディスク容量だけを搭載すればよく、HCI全体のディスク構成を抑えることが可能になり、結果として初期投資の削減にもつながります。


オンプレミス環境はもちろん、現在クラウドサービスを利用中のお客さまも、コストを抑えながらインフラ環境を最適化していきたいという企業の方はぜひ、Wasabiのクラウドサービスのご利用をご検討いただいてはいかがでしょうか。

【この記事の執筆者】加藤 タクマ(かとう たくま)

1993年S&I入社。古くは、通信速度がKbpsの時代からビルや工場などの拠点を接続するネットワークエンジニアとして従事。長いキャリアを通して、ネットワーク速度の進化、トポロジーの進化など、テクノロジーの変化と発展を身をもって体験。現在は、サーバーやストレージの領域まで守備範囲を広げ、サーバーインフラの進化を支えている。

情シス担当者のためのサーバー/プラットフォーム Tech Blog

新着コラム