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情シス担当者のためのサーバー/プラットフォーム Tech Blog

【Vol.5】【知っておきたい】VMwareの新たな保守制度とは?
主要HCIソリューションの保守制度を徹底比較!

2024年2月のBroadcomによるVMware買収当初、ハードウェアメーカーへのVMwareライセンスのOEM提供が一時終了となるなどの混乱がありましたが、現在は、Value-Added OEM (VAO) という名前でOEMの提供を再開しており、Dell、Lenovo、HPEなどの海外メーカーに加え、日立や富士通、NECなどもVAO契約を締結しています。これにより、HCIソリューションもこれまでどおりの調達が可能になっています。ただし、vSAN環境を利用できるエディションが限定されているため、これを機に他社ソリューションへの移行を検討している方もいらっしゃるのではないでしょうか。

本記事では、Broadcom買収後のVMware製品の保守サポートについてまとめるとともに、vSANの移行先/切り替え先候補に挙がることの多いNutanix、Windows Server HCIの保守内容を比較していきたいと思います。

VMware製品の新たな保守サポート内容とは?

VMware製品はBroadcomによる買収後、原則として製品販売元の認定ディストリビューターがテクニカルサポートプロバイダーとしてサポート対応を行うように変更されました。(一部のお客さまや製品はBroadcomが直接サポート対応するケースもあります。)

ここで重要になるのが「製品販売元」の認定ディストリビューターがサポートを提供するという点です。お客さま内で購入元の異なる複数のVMware製品を導入している場合、サポートを提供する担当ディストリビューターが複数できることになります。

いずれのディストリビューターが担当の場合でも、お客さまは最初にBroadcom Support Portalでサービスリクエストを起票し、以降は問い合わせをした製品販売元のディストリビューターがサポートを対応します。製品ごとの商流に応じて適切なサポート担当が割り当てられるため、お客さまからするとサービスリクエストを発行するという初動は変わりません。VMware製品サポートの基本的なサービス仕様は各ディストリビューターで大きく変わりませんが、ディストリビューターによっては多少の違いもあるため、あらかじめ確認をするようにしましょう。


[Broadcomのサポートの特徴]
  • 製品販売元の認定ディストリビューターがテクニカルサポートプロバイダーとしてサポート対応を行う
  • 初動はBroadcom Support Portalでサービスリクエストを起票。購入したディストリビューターによって初動が変わることはない
  • 営業時間は基本的に平日9:00~17:30で日本語サポートが提供される
  • 時間外での対応は重大障害(P1)と判断された場合のみ。時間外での重大障害(P1)に対する日本語サポート提供はすべての製品ではなく一部製品に限定される

OEM製品やアプライアンス製品の保守サポートの内容に変更はあったのか?

vSAN環境は、ハードウェアメーカーが提供するOEM製品やアプライアンス製品を利用するユーザーも多いのではないでしょうか。結論としては、OEM製品やアプライアンス製品の保守サポートの提供方法やサポート内容に関して、今回の買収による大きな変更はありません。

従来同様、ハードウェアメーカーがサポートを提供しており、ハードウェアとソフトウェアの保守サポート窓口を1本化が可能です。万が一、仮想基盤に何か起きたとしても、お客さま側で一次切り分けをせずにサポート窓口に問い合わせることができます。お客さまにとっては手離れよく仮想基盤を運用できるのではないでしょうか。

特に、VMwareのHCIアプライアンス製品である「Dell VxRail」は、保守が非常に充実しているのでオススメです。Dell VxRailの保守サポートには以下のような特長があります。

<Dell VxRailの保守サポートの特長>

① 専任チームがある
VxRailをサポートする専任チームが組まれており、お客さまの仮想基盤運用を強力にサポートしてくれます。お客さま自身での一次切り分けの手間が不要になるのはもちろん、リモートでのvSphereのアップグレードも対応してくれるので、運用負担がかなり軽減されるでしょう。

② vSphere・vSAN以外のサポートにも対応
VCFエディションでVxRailを購入すると、vSphere・vSAN以外にも、VCFに含まれるNSX・Aria Suite・Tanzu Kubernetes Grid(TKG)・HCXなどの機能もDellのサポートチームにて対応してもらえます。

NutanixとWindows Server HCIの保守サポートとの違いは?

ここでは、vSANからの移行先の選択肢として挙げられるNutanixとWindows Server HCIの保守サポートについて簡単に紹介します。

■ Nutanix

Nutanixの保守サポートは24時間×365日での受付になりますが、日本語対応は原則平日9:00~17:00で、時間外は英語対応となります。トラブルの早急な解決が必要な場合は、英語対応も視野に入れる必要があります。

VMware製品同様、Nutanixの場合もOEM製品では一元的にハードウェアメーカーがサポート窓口を提供する場合が多いです。(一部メーカーではハードウェアとソフトウェアの問い合わせが別々の場合もあります。)

ハードウェアメーカーのサポート窓口に問い合わせをすれば、ハードウェアでの障害か、ソフトウェアでの障害か障害切り分けを実施し、ソフトウェア起因の障害の場合はNutanixへのエスカレーションまで行ってくれます。

また、24時間×365日で日本語対応してくれるメーカーが多いのも特長です。ソフトウェア起因の障害でNutanixのリモートサポートを受けた際、NutanixのSEが英語対応だったが、同席するハードウェアメーカーの担当者が翻訳しながら解決に導いてくれたという事例もあります。

Nutanixの場合、OEM製品でもNutanixに問題が起きた場合は、NutanixのSEがリモート(Zoom)で切り分け・対応を行い、全力で問題解決までサポートしてくれます。問題解決に対する安心感が非常に高いサポート内容と言えるでしょう。

■ Windows Server HCI

VMwareやNutanixとの保守サポートとの大きな違いとして、Windows Serverのソフトウェア自体にテクニカルサポートは付属していません。基本的には、お客さまでMicrosoftの公開情報やナレッジベースを元に調査しなければなりません。なお、問い合わせをしたい場合は、別途Microsoftとインシデント制のテクニカルサポートなどを契約する必要がありますが、このテクニカルサポートも公開ドキュメントやナレッジベースなどの既知事例をベースにした対応となります。

OEM製品の場合、VMwareやNutanix同様にハードウェアメーカーにWindows Serverについて問い合わせできることが多いものの、Windows Server HCIを構成するコンポーネント(Hyper-V、フェールオーバークラスター、記憶域スペースダイレクト)に発生した障害を復旧させるためのトラブルシュート支援が主になります。

Microsoft公開ドキュメントやナレッジベースでの案内となり、ログの詳細解析や修正パッチ提供などは対応してもらえません。また、Windows Server HCIに関連するADの問い合わせや、Windows Admin Centerといった無償の管理ツールの問い合わせはできません。OEM製品の場合でも、既知の情報をもとにした案内のみ、個別のバグ対応といった高度なサービスは提供されないため、運用担当者がWindows Serverに関する知識を持っていることが求められます。

まとめ

いかがだったでしょうか。vSAN環境から他社のHCIソリューションへ移行する場合は、機能面だけではなく保守についても着目しながら、自社に最適なものを選択しましょう。コストと運用負担のバランスが重要です。

例えば、先ほどご紹介したvSANのアプライアンス製品であるDell VxRailの場合、コスト面はVMwareライセンスに影響されるため、高くなる傾向がありますが、専任チームによる保守が提供されるなど運用面での安心感があります。Nutanixも同様に保守サポートの手厚さが魅力と言えるでしょう。一方で、Windows Server HCIは、コストは抑えられるものの運用担当者にWindows Serverの知識が求められるため、運用が負担にならないか注意が必要です。

S&Iでは、先述した通りDell VxRailへの移行はもちろん、NutanixやWindows Server HCIへの移行もご支援させていただいています。特に、VMware環境から移行する場合は、機能面や運用面での検証も必須になりますので、必要最小限のPoC環境を使った検証からご支援させていただくことも可能です。

保守の観点からVMwareに留まるべきか、他のソリューションへ移行すべきか検討されている場合は、ぜひS&Iまでご相談ください。今抱えていらっしゃる課題やご状況に応じたご提案・ご支援をさせていただきます。

【この記事の執筆者】新井 健太(あらい けんた)

サーバーエンジニアとして、業種問わず多くのお客さまへVDIのご提案および導入に携わる。働き方改革や端末セキュリティ向上を目的としたご支援を多く手がけてきた経験をもとに、最近ではプリセールスエンジニアとしてVDIはもちろん、HCIやハイブリッドクラウドなどの技術検証から提案に至るまで、お客さまがインフラに抱える課題に対して、技術的な側面からの解決に向けた柔軟な提案を行っている。

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