— ネットワークの仮想化が進むと、ネットワーク構築と運用のやり方に対する要求も変わってきますね。

山下:そうですね。これからのオペレーション環境を支えるサーバー、ネットワークといったインフラは、これまでのようにアプリケーションに付随して決まってくるという形ではなく、アプリケーションのトラフィックやトランザクションに対して満足できるものが用意できればいいわけです。サーバーやネットワークを“インフラリソース”として抽象化し、運用管理の窓口—インターフェイスが統合されていくのが望ましいと思います。
— アプリケーションに対するニーズが変わっていくのは自然の流れですが、それに応じてインフラ側がバラバラに対応するのではなく、全体を支えるプラットフォームとして提供するということですね。
ネットワーク側からどれだけユーザに近い層まで見通せるか、がこれからのネットワークエンジニアには必要
山下:そうです。だからこそ、単純につながっている/いないといったレベルでネットワークだけをやっているベンダーには、Network Virtualizationの提供は絶対にできないと思います。この新しいインフラ環境の統合的なサポートには“アプリケーションやサーバーも分かるネットワークエンジニア”が必要になってきます。厚くなってしまったインフラを支えられるのは、ボトム側からどれだけミドルウェア、アプリケーションといった上層まで見通せるかが、非常に重要になってくるわけです。そういう意味で、S&Iはとても心強いパートナーです。
— 確かにそこが我々のアピールポイントだと思っています。
山下:例えば、これまでの一般的なネットワークソリューションは、ある意味でユーザの要件定義(ニーズ)をねじ曲げるところから始まるわけです。いかにシスコの教科書通りの3層ネットワークに当てはめるか、であったり、セキュリティはラダー型で、といった具合です。要するに物理的、コスト的な制約がまずありきですから。
これがNetwork Virtualizationでは、ネットワークエンジニアリングにおける創造性をいかんなく発揮できるようになります。言わば、ネットワークエンジニアが“広大なキャンバス”を手に入れるわけです。スイッチやルーターのノウハウだけでは、これを活かすのは難しいでしょう。その点、S&Iはさまざまなアプライアンス製品を使った、従来の標準的な手法でのネットワーク設計のスキルも持っているし、サーバーなどのオペレーションにも配慮できるノウハウがあるのが強みですよね。これからお互いにアイデアを出し合って、可能性を広げていきたいと思っています。
— 創造性という意味では、Network Virtualizationの登場で、本当にこれからいろいろと変わっていくタイミングだと思いますね。例えばこれからは、まず「ポートが10個あるファイヤーウォールを使う」ところから話を始めるのではなく、「じゃあファイヤーウォールを100個使いましょうか」から話を始めることが可能になる。まさに新しい世界です。こういう新しいネットワークデザインの可能性が、TCOを削減したり、ユーザビリティを上げたりといったことにつながっていくわけですね。

山下克司
日本IBMでネットワークサービス事業部全体の技術戦略を担当。IBM全世界共通の基準で優れた技術力を有する社員に与えられる「IBM Certified Professional - Senior Consulting IT Specialist」の資格を持つ。