損保ジャパンひまわり生命保険様

損保ジャパンひまわり生命保険
事務IT統括部
IT基盤・フロントシステム グループ 課長代理
末吉 俊博氏
損保ジャパンひまわり生命保険
事務IT統括部
IT基盤・フロントシステム グループ 調査役
小林 英幸氏
損保ジャパンひまわり生命保険は、1981年、米国シグナ・グループのアイ・エヌ・エイ生命保険株式会社として誕生。2002年の損保ジャパングループ誕生とともに、損保ジャパンひまわり生命保険として新たなスタートを切った。元外資系生保だけあって、医療保険などの第三の保険分野に特徴をもつのが同社の強みだ。たとえば女性を対象にした入院保険「フェミニーヌ」は、女性特有の疾病を保障する上、3年毎に生存給付金が支給されるなど、ユニークな商品内容が人気を集め、ヒット商品となっている。
同社における保険商品の主な販売チャネルは、損保ジャパンを中心とした代理店のほか、自社の営業部門である「ライフカウンセラー」、そしてネットでの直販だ。その中で、コンタクトセンターは、資料請求の受付や問合わせ対応、保険手続きの一次窓口という役割で同社の保険業務を支えている。2000年の設置以来、コンタクトセンターの役割は増し規模を拡大。2004年には東京・恵比寿のオフィス内に「恵比寿お客様サービスセンター」を開設した。
“お客様目線の経営”を目指す同社にとって、コンタクトセンターの役割は重要視されてきていたという。
損保ジャパンひまわり生命保険 事務IT統括部 IT基盤・フロントシステムグループ 課長代理 末吉俊博氏は、「たとえば保険金の支払い請求に関して、コンタクトセンターは一次窓口としての受付、案内はしますが、手続きそのものは保険金の業務部署が行います。そこで将来コンタクトセンターのフロント業務と、事務処理を担う業務部門をシームレスに連携し、ワンストップのお客様サービスを提供すべきという見方があったのです」と話す。しかし、当時の恵比寿オフィスでは、コールセンター業務部門には、それぞれに異なるIP電話システムが採用されていた。このことが「将来的にコンタクトセンターと業務部門の業務連携の障害となる可能性がある」という見方があったと末吉氏は説明する。
一方で、管理コスト面での課題もあった。業務部門側はネットワーク機器専業ベンダーのソリューションが、コンタクトセンター側にはIP電話システム専業ベンダーであるアバイアが導入され、2つのベンダーのIP電話システムが共存し、運用面ではコスト増の要因だった。
そうした状況のなか、2008年、事務部門側のIP-PBXがサポート切れを迎えることとなった。損保ジャパンひまわり生命保険 事務IT統括部 IT基盤・フロントシステム グループ 調査役 小林英幸氏は語る。「初期導入コスト、運用コストの両面から、次期システムを検討しました。業務部門とコンタクトセンターのシステムの統合によるコスト削減メリットにねらいをつけ、コンタクトセンター側のサポート切れを待たず、両者同時のリプレイスを検討することになったのです」。
システム選定のパートナーには、エス・アンド・アイが選ばれた。小林氏は、「以前から、コンタクトセンターのインテグレータとしてお手伝いいただいていたエス・アンド・アイを高く評価していました。提案力、サポート力があり、トラブルの対応が早い」とエス・アンド・アイへの信頼を語る。検討の結果、IP電話システムのベンダーには、実績や信頼性も高く、また、ウィスパリング機能や予測待ち時間(Expected Wait Time:EWT)機能などが充実しているアバイアを採用した。
プロジェクトは、2008年8月から要件確認とテスト/移行計画を策定。10月から約1ヶ月という短期でシステムを構築した。11月から12月にかけてテストとリハーサルを実施。リリースにあたってはエス・アンド・アイがコンティンジェンシープラン(contingency plan)を作成して進行した。末吉氏は「クリティカルパスを設定し、チェックポイントをクリアできなければ、移行を中断して振り出しに戻すというルールを設定していただきました。導入は非常にスムーズでしたし、プランそのものも非常に緻密なものでした」とエス・アンド・アイを評価する。
コールセンターは2009年1月に移行し、オフィスは2月に設備を展開し、3月にサービスインした。いずれも、スケジュール通りに進んだ。エス・アンド・アイは8社のベンダーを取りまとめた。「大きなトラブルもなく進行しました。かつ、当初要件としてあげたものはすべて満たすことができました」と小林氏。
「コンタクトセンターは企業の顔としての役割があります。お客様と常に確実に繋がる環境であること、ビジネスの拡大にも柔軟であることを、エス・アンド・アイに要件として挙げました」と小林氏は語る。アバイアのESS(Enterprise Survivable Server)*1を導入し、データセンターのサーバーの障害や拠点オフィス間のWAN通信の遮断が発生した場合でも、拠点オフィス側がフローを引き継ぎ、電話が止まらない構成をとった。さらに拠点側の障害対策にはLSP(Local Survival Processor)*2が導入された。LSPは、PBXがダウンした場合でも、ゲートウェイ装置が独立動作し電話を継続するというものだ。また、電話への給電装置も設け、停電時にもセンターは止まらない対策をとった。拡張性については、アバイアのPBXのゲートウェイの特性が効力を発揮した。拠点の規模・用途に合わせた柔軟なシステム設計が可能となっている。運用負荷についても、主要なサーバー環境はデータセンターへ移設したが、リモートでPBXシステムへアクセスでき、日々発生する変更作業にも柔軟に対応できるよう設計された。もちろん、利便性とトレードオフになりやすいセキュリティにおいても、充分な考慮が行われている。
コスト面では、コンタクトセンターと、業務部門で2系統のIP電話システムを維持、保守し続けた場合と比較して、初期導入コスト・運用コストの双方で年間10%のコストダウンを図ることに成功した。
*1 ESS(Enterprise Survivable Server):WANリンクのダウンまたは災害などでメインのサーバー群が運用不能状態になった際、バックアップサーバーによってサービスを継続するための冗長化技術。
*2 LSP(Local Survivability Processor):Media Gatewayに装備可能なサバイバリティ機能。PBXとのリンク断を検知するとMedia Gatewayに搭載されたバックアッププロセッサーが自動起動し、テレフォニーサービスを継続する。
それまでコンタクトセンターでは、問合わせ項目が増える都度にフリーダイヤルが増加していた。しかし、番号が増えることはセンター側の都合であり、お客様にとっての利便性とは必ずしも結びつかない。「オペレータのマルチスキル化は理想であり、今後のテーマでもあるが、それにはまず、フリーダイヤルを統合し、お客様への電話窓口を1本化していくことが必要。その上で、Avaya CMSのレポートを駆使して、受電時のサービス品質向上に活用し、よりよいサービス、ワンストップサービスを提供するベースを整えたい」と小林氏は語る。業務の中には、コンタクトセンターと業務部門に、またがって行われているものもある。「お客様目線での事務処理を考えた上で、コンタクトセンターは1次受け、実務は業務部門といった社内事情はあるにせよ、コンタクトセンターの受付と業務部門を融合することにより、よりスピーディにサービス提供する体制も案として上がっています。基本の電話システムが1本化したことで、その体制に対応することが可能になりました」と小林氏。こうした動きもコンタクトセンターと業務部門を統合していれば円滑に進めることができるだろう。
損保ジャパンひまわり生命保険は、コンタクトセンターとオフィスの電話システムを統合したことで、フロント業務とバックオフィス業務の一体化を推進できる体制を作り出した。営業事務をコンタクトセンター側に集約していくことで営業時間を創出し、お客様目線のコンタクトセンター作りに取り組めるようになったことの効果は大きい。今後、お客様とのコミュンケーションを密にすることで、より高品質なサービス提供を目指していくことだろう。
システム構成図
損保ジャパンひまわり生命保険株式会社
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損保ジャパンひまわり生命保険は、1981年、米国シグナ・グループのアイ・エヌ・エイ生命保険株式会社として誕生。2002年の損保ジャパングループ誕生とともに、損保ジャパンひまわり生命保険として新たなスタートを切った。元外資系生保だけあって、医療保険などの第三の保険分野に特徴をもつのが同社の強み。女性特有の疾病を保障する入院保険「フェミニーヌ」などを提供している。 |