世界バスケのプロジェクトに参画した時点で、既に開幕までに十分な準備時間はありませんでした。しかも組織委員会内部にIT専門家がいなかったことから、この大きな世界大会に耐えうるネットワークの構築は非常に難しい状態でした。
現場チームとテクニカルチーム、そしてメーカーのサポートが一体となった運用体制を敷くことができたこと、また各試合会場に分散したチームが柔軟に活動できる「S&Iの自律的プロジェクトモデル」を実践できたことが、成功の大きな要因でした。
杉本知成(プロジェクトマネージャー)

かなり限られた時間の中で、これまでのノウハウは最大限に活かされました。S&Iは、「大会運営に必要十分なITインフラとは何か」という視点で設計を行い、あらゆる事象に柔軟に対応できるITインフラの構築を目指すことにしました。結果として、その視点はあらゆる場面で功を奏しました。選手・観客・メディア・スタッフのために十分に使いやすいITインフラとして、障害が発生してもサービスをぎりぎり維持しながら、短時間で回復できるシンプルなITインフラを用意しました。
メディア向けネットワークについては、会場内はもちろん、別の試合会場に移動しても共通のIDで利用できる無線LANシステムの導入や、会場内でのリアルタイム動画+スタッツ画面の配信など、FIBAとしても初の試みを取り入れたシステムを稼動させました。
S&Iは、この短期集中決戦とも言えるこのイベントのインフラ構築と運用に、ホスピタリティにあふれ、かつコミュニケーション能力の高い50人以上の選抜メンバーを投入しました。

大会が始まってまもなく、やはりトラブルに直面しました。試合会場での電源系統の問題、世界大会であるが故の海外から無数のアタック攻撃、想定外のデータ通信によるネットワーク機器の誤動作など、クリティカルな問題が発生しました。しかし、これらの問題は、各会場からの運用・障害状況をリアルタイムで全員が共有し、S&I本社で待機するテクニカルチームが、さまざまな障害の検証と改善策のレポートを即座に行うことで、大会運営にはほぼ影響することなく切り抜けることができました。