取り組み事例(株式会社ハウコム 様)

株式会社ハウコム様との取り組み事例

株式会社ハウコム 様

Watson™ 取り組み事例

  • IBM Watson™でカスタマー業務の働き方改革を実現したい。
  • ナレッジ中心の運用フローで、個人スキルに依存しない環境を作る。

株式会社ハウコムは、ヘルプデスクに特化したサービスを提供する会社として、1996年に設立しました。ハウコムが目指すのは、従来の「発生したトラブルを迅速に解決する」のではなく、「日々発生するトラブルを解決しながら、ITトラブルの根本原因の排除し、再発防止に努める」ヘルプデスクです。それは、トラブルの数を減らすことで、ユーザーが小さなトラブルに時間を割かれることが無くなり、本来の業務に時間を投資できるようになると考えているからです。カスタマー業務の改革に積極的に取り組むハウコムが期待を寄せたのが、AIの活用でした。

取り組みの背景

  • 離職理由で高い比率を占める「スキル習得」に対する課題の解決
  • ベテランと新人スタッフのスキル格差
  • 人に依存しがちなマネジメント

取り組みの目的

  • カスタマー業務の改革による従業員満足度の向上
  • 標準的な人が活躍できる成長インフラの構築、および属人化しがちなスキルの平準化
  • ナレッジを中心に据えたカスタマー業務運営手法の確立

Watson™への期待

  • オペレーター1人ひとりの検索精度の標準化
  • 全方位でのドキュメントの検索
  • 回答をリコメンドしてくれる仕組み

カスタマーセンターが抱える課題とKCS

株式会社ハウコム 松野氏

株式会社ハウコム 運用本部
サービス戦略部 部長 松野淳一氏

「高い顧客満足度は、社員の満足度から生まれる」と考えているハウコムの離職率は、わずか10%台だ。離職率の高いカスタマーセンター業務を担う企業において、圧倒的な低さを実現しているにも関わらず、「働き方改革により、さらに従業員満足度を上げたい」と運用本部 サービス戦略部 部長 松野氏は話す。カスタマーセンター業界の現実は、スタッフに知識を詰め込み、だんだん疲労困憊し、そして退職、新たなスタッフを迎え、また知識を詰め込む…の繰り返しだ。ハウコムは、この「負の連鎖」を打破したいと、常に考えていた。

実際、自身のスキル向上に悩むスタッフは多い。熟練したスタッフと自身のスキルの差を目の当たりにし、自信を失うことが、退職理由で高い比率を占める。エキスパートを集めて最高のサービスを提供する時代は終わった。普通の”標準的な人”が活躍できる成長インフラを提供することが、ヘルプデスクサービスを提供する会社の使命であるとハウコムは考えていた。その解決策の一つが、「KCS(Knowledge Centered Support)」というナレッジを中心に据えたカスタマーセンターの運営手法だ。KCSは、1992年に、米国「サービスイノベーション・コンソーシアム」によって開発された方法論だ。個の知識を組織の知識として管理、体系化、再活用、改善していくという運用フローで、「自分が知らないから検索する」という意識ではなく、自身の経験を組織にとって「有効なコンテンツに昇華していく」という意識で取り組むことが重要だ。多くのカスタマーセンターでは、ナレッジをデータベース化したものはあるが、ベテランは使わず新人スタッフしか使わないというケースが多くある。言い換えれば、ベテランの知識は、その他のスタッフと共有できていないのだ。ハウコムでは、このKCSを通じて、知識の在り処を明確にし、ベテランも新人も同じデータベースを元にすることで、スキルの平準化を図ろうとしていた。

しかし、KCSサイクルを回すことが非常に難しく、上手くいっている企業はわずかだ。そんな時、AI事業を手がけるベンダーから声を掛けられる機会が増えた。「AIはまだまだ未来の話だと思っていて、実際のところ、あまり積極的に自社のヘルプデスク業務に取り入れることは考えていませんでした。しかし、話を聞く機会が増えるにつれ、未来の話ではなく、とても身近な話になっていることに気付かされました。」と松野氏は振り返る。マネジメント面で人に依存してしまうKCSの課題をAIで解決し、ナレッジ中心のカスタマーセンターの実現のハードルを下げることにトライしたい、その思いからハウコムは自社のヘルプデスク業務でAIを活用するための施策に取りかかった。

一方で、エス・アンド・アイも、Watson事業に乗り出した当初から、AI活用の鍵は「学習データ」にあると考え、学習データの作成支援や、教育支援のサービス提供を積極的に進めてきた。「AIという言葉が浸透する一方で、多くの人が、問いかければAIは何でも答えてくれると誤解している。」と話すのは、エス・アンド・アイ コグニティブ& UCデベロップメント 統括部長 佐々だ。「学習データ」は一度作成したら終わりではなく、回答の精度を向上させるために、常に学習させ続けることが重要だ。AIにおける「学習データ」の在り方は、KCSの考え方に非常に近い。両者が想定する実現のイメージは、当初から一致していた。そこで、ハウコムとエス・アンド・アイのナレッジを中心に据えたカスタマー業務を実現するための「AI導入をプロセス化する取り組み」が始まった。

これまでのナレッジ運用例とAI時代のナレッジ運用例

一筋縄ではいかない学習データの作成

まず取りかかったのは、現場のナレッジを元に学習データを作成することだ。学習データの作成プロセスは、お客様が主体となって学習データの元となるデータを準備していただくところから始まる。そして、業務内容に詳しい熟練者によるデータのチェック、システム視点での学習データの精度向上と現場での精度向上を繰り返し、本番運用につなげていく。

学習データ作成プロセス

ハウコムは、エンドユーザーであるお客様企業にデータの開示を依頼した。ヘルプデスク業務のアウトソーサーであるハウコムは、サポートの機能を請け負っているため、日々ヘルプデスクに蓄積されていく情報は、あくまでもお客様の所有物だ。さらに蓄積される情報には、個人情報だけではなく、お客様のビジネスに直結する固有情報も含まれる。現場の担当者の一存で二次利用を許可できるものでもない。「正直、しんどかったです。」と松野氏は言う。経営層に、「ヘルプデスクの業務を、チームワークでパフォーマンスを発揮できる構造に改革したい」という思いを伝え、お客様にデータを準備していただき、それを他社へ提供する許可を取り付けた。そこからがまた大変だった。個人情報や商品情報など、固有のものが特定される単語はすべて意味をなさない言葉に置き換えてから、エス・アンド・アイに受け渡さなければならなかった。今回は数千件のデータであったため、人の手でもどうにか賄えたが、数万件にもおよぶ場合は対策が必要だろう。「松野さんの苦労を実感しているからこそ、手戻りは発生させる訳にはいかない、という意識が強まった。」と佐々は話す。今回のようにお客様/アウトソーサー/ITベンダーの3社をまたぐ場合はもちろん、同じ企業内でも部門が異なれば情報を開示することを嫌うケースは多いだろう。今回の取り組みは、エス・アンド・アイにとっても、手戻りなくスムーズに学習データを作るためのフローを確立することが重要だと再認識するキッカケとなった。

S&I 佐々

エス・アンド・アイ株式会社
コグニティブ& UCデベロップメント 統括部長 佐々博音

その後、システムの視点で学習データの精度を向上させた、お客様側での精度向上フェーズに入る。そこでも新たな課題が生まれた。データが正しいかどうかは、業務内容を熟知している「人」にしか判断できない。しかし、ヘルプデスクで働く人にそんな時間はない。日々の業務に、「学習データの精度向上」というフローをはめ込んでいく必要があるのだ。誰も使わない学習データはやがてゴミと化す。使わないから育たない、育っていないから使い物にならない、というスパイラルに陥ってしまう。KCSの運用と同様だ。学習データの作成プロセスの課題が見え、ある程度確立できた今、「次はインターフェースがどうあるべきかを突き詰めてきたい」と松野氏は話す。人が使いやすいと感じる親和性の高いインターフェースは、学習データのメンテナンスにおいて重要だと考えているからだ。

ハウコムがAIに求めるのは、[1]オペレーター1人ひとりの検索精度の標準化、[2]ドキュメントの検索を全方位で実現する方法、[3]回答をリコメンドしてくれる仕組み、の3つ。ハウコムとエス・アンド・アイの取り組みはまだ始まったばかりだ。カスタマーセンターの世界集積拠点であるフィリピンなどでは、既にカスタマーセンターでのAI活用が一般化しつつあるという。ハウコムは、日本でもカスタマーセンターにおけるAI活用のハードルを下げ、あらゆる企業のヘルプデスクが働きやすい環境になることを目指している。

株式会社ハウコム

  • 本社 神奈川県川崎市川崎区東田町 2-11
  • 設立 1996年10月
  • 資本金 33,000万円
  • 従業員数 616名(2016年6月現在)
  • 事業内容 
    ヘルプデスク・サービスデスク業務(常駐・センター) /コールセンター・受注受付・事務センター / コンサルティング・教育 / サーバー・インフラ運用
  • アウトソーシングセンター(OSC):- 宮崎OSC/佐世保OSC/芝OSC
  • http://www.howcom.co.jp

ハウコムでは、グローバルに活躍されている 法人の皆様の 『ビジネス』 を支えています。ITサポートやコールセンター運用を通じ、お客様のビジネスにかかわるITソリューションの活用について、ご提案から運営まで手がける それがハウコムです。

PDF

- Contact Us -

資料請求・お見積・ご相談は、S&Iまでお気軽にお問い合わせください。

お問い合わせはこちら 各種資料のダウンロード